天野記者の『オートレースNOW』Vol.9
川口オートレース場の名物G1、第66回開設記念グランプリレースは3月7日~11日に開催され、人気レーサー・森且行(川口25期)が優勝を目指して出陣する。
2017年末のG2格、SSシリーズで3年4ヶ月ぶりに優勝を飾り、最高の笑顔で「やっと勝てました!」と、喜びを爆発させた。今、個人的に最も注目している選手だ。
ずっと欲しかったVを手に入れ、自信が回復したのは大きい。走路温度が低くなる11月~2月をドル箱にしており、勢いに乗っての参戦は脅威。走路への食い付きがいい冬場は長身を活かしたダイナミックな走りができる。
連日、森は夜までマシンと向かい合い、機力アップを狙う。川口なら午後9時のリミットまでロッカーにいることも多く、パーツ交換などの整備を続ける。
「いくら賞金を稼いでも、部品代がかかって手取りはマイナスになってしまう」
そんな風に冗談交じりに漏らしたこともあった。元アイドルとは思えない泥臭い取り組み、地道な努力が実る時は近いであろう。
オートレーサーとしての知名度はもちろんNo.1だ。ガールズバー、キャバクラ、スナックなどで「オートレースの記者をしている」ことを教えると必ず聞かれるのは「森君は選手で活躍しているの?」という類のものだ。イベント出演はオートレーサーの中で断トツのトップ、ボートレースなどとのコラボレーションも多い。本業では一時期はA級に降格、スランプに陥ったが、2017年の獲得賞金では川口6位、全国28位まで復活した。既にG1は2回優勝しており、整備、レースとスキルは充分に通用する。2013年日刊スポーツキューポラ杯以来、3回目のG1制覇へ期待が高まる。
女子の佐藤摩弥(川口31期)は捌きに磨きがかかっている。G1でも好勝負できる選手の1人として注目したい。女子の草分けとして、オートレースを牽引してきただけあって森の次に知名度は高い。日刊スポーツ.comのアクセス数は1位・森、2位・佐藤摩が定番になっている。
2月17日に行われた女子レース「ガールズレーサーバトル」ではハンデ90を課された。「今までは70Hが最高だったと思う。時計がしっかり見られるか心配」と、レース前は語っていたが、3着に入って存分に見せ場は作った。
2016年にG2川口記念を制し、女子ではただ1人グレード戦優勝の実績を持つ。女子は逃げ・先行で活躍するケースが多いが、佐藤摩は後方からの追い上げも巧み。マシンを仕上げて優勝戦線に参入して、森とV争いになれば、開催は大いに盛り上がる。
V最有力候補は永井大介(川口25期)だ。2017年は最多の優勝10回、通算1,000勝も達成して、完全に輝きを取り戻した。
「すごく自信になった1年。巡り合わせと言うか、バイオリズムも良かった」
2月12日優勝戦のG1スピード王決定戦では優出こそ逃したものの、換えたフレームが良くエンジンは高レベルにある。2017年はJKA表彰で優秀選手賞を受賞、日刊スポーツ制定年間三賞では技能賞に輝いた。実績断然のダブルグランドスラマーがVへ突き進む。
絶対王者・高橋貢(伊勢崎22期)の堅実なレースぶりは健在。他にも中村雅人(川口28期)、青山周平(伊勢崎31期)、佐藤貴也(浜松29期)、浦田信輔(飯塚23期)らが虎視眈々(たんたん)と、優勝を狙っている。
開設記念グランプリレースには参戦しないが、2018年の要チェック選手が2人いる。まず松尾啓史(山陽26期)には大ブレイクの予感が漂う。
「エンジンはすごくいいので、この状態を維持したい」
2月24日優勝戦のG2レジェンドカップで、G1スピード王決定戦に続くグレード戦連続Vを達成。
女子では2017年に優勝2回の岡谷美由紀(浜松32期)が2月20日に川口で早くも2018年初Vを飾った。
この2人は3月21~25日、山陽の特別G1プレミアムカップに出場する。鈴木圭一郎(浜松32期)らを相手に、どんなレースを見せるのか?次回の当コラムでは、この大会の見どころをお届けしたいと思っている。
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