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2018/10/14

Yasuhiko Amano

天野記者の『オートレースNOW』Vol.20

天野記者の『オートレースNOW』Vol.20

4期連続ランク1位の鈴木圭一郎(浜松32期)がSG全日本選抜を制し、史上3人目の3年連続MVPが完全に視界に入った。
10月4日~8日に地元の浜松オートレース場で行われた大一番はまさに“圭一郎の独壇場”であった。大会3連覇でSGは7回目の制覇となり、2016年日本選手権に続く2回目のSG完全Vは毎度のように記録満載の優勝となったのである。
優勝戦では1枠からトップスタートを決めると、10周回を楽々と逃げ切った。
「2級車に近い感覚で、アクセルグリップを開けながら走った」と、振り返るハイペースの逃走にライバル7選手は手も足も出なかった。2着以下の混戦とは無縁、まさに独走状態。
「跳ねや滑りはなかったし、エンジンもいい音が出ていた」
“整備の鬼”も納得する抜群の仕上がりのマシンに笑顔だった。

優先順位1位の枠番選択では迷わずに1枠をチョイス。
「車は逃げる分には問題ない」と、自信を持っていた。もちろん、考えられる全ての調整を敢行してきた。いつもと同じように、10月2日の整備日(前々検日)に現地入り。
「前節の山陽では滑りがあったし、マシンの状態がひと息だったから」
日本選手権、オールスターのSG2回優勝の実績を持つクランクに交換。初日の圧勝後にはシリンダーとピストンを換えた。
「このクランクにどれだけ合うか、シッカリ確認したい」と、考えての仕上げは見事に成功した。
準決勝後にはシリンダー、タイヤ、フォークを交換。次から次へと打ち出す手が「レースでは気持ち良く乗ることができた」という機力アップにつながった。2017年には部品代に2,200万円をつぎ込んだ調整達人にシリーズを通じて全く隙はなかったのだ。

絶好調時の高橋貢(伊勢崎22期)と同じように、初日から最終日まですべて12Rに登場。時間帯に合わせた仕上げが楽にできたのも大きい。優勝戦4着の中村雅人(川口28期)が「最終レースに合わせ切れず、道中は終始重く感じた」と、振り返ったのとは対照的であった。
「SG勝てて流れは戻ってきている。今後もいいレースをしたい」
鈴木は圧勝Vを決めた後も気を緩めない。
10月31日~11月4日のSG日本選手権には3連覇を懸けて出場。年末大一番に向けて、さらに加速していく。

最強レーサーにライバルがいてこそ、オートレースは盛り上がる。優勝戦2着の佐藤貴也(浜松29期)は2018年にブレイクした1人だ。4月のSGオールスターでSG初優勝を飾り、鈴木圭一郎に次ぐランク2位まで進出した。
「優勝戦はスタートを失敗した」
今開催を悔やむが、ロケットスタートが決まれば無類の強さを発揮する。
2018年、G1制覇を量産する永井大介(川口25期)は優出15回(うちSGで2回、G1で4回、G2で1回)であるし、堅実な中村はもちろん、特別G1プレミアムカップを完全優勝した木村武之(浜松26期)もいる。
「全力を尽くして圭一郎をストップさせたい」の思いは同じはずだ。

最高峰レースのスーパースター王座決定戦に向け、オートレースはますます熱気を帯びていく。果たして、どんなドラマが待ち受けているのか?

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