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2018/12/28

Koichi Moriizumi

『森泉宏一の実況天国』Vol.3

『森泉宏一の実況天国』Vol.3

前回のコラムで、実況の合間に青汁を飲んでいるという話を書きました。
仕事中に青汁を飲む実況アナウンサーが果たしているのだろうか?と、書いたところ、なんと岸和田競輪などで実況をされている大津尚之アナウンサーも仕事中に青汁を飲んでいるとのこと!
ちなみに僕と大津アナウンサーは同い年。
公営競技の実況アナウンサーの中では、まだまだ若手の部類に入るであろう34歳の男2人が青汁を飲んでいるという事実に思わず笑ってしまいました。

さて、前回は実況のための準備や道具などをご紹介しましたが、今回は実際に実況をしている時のことを綴っていきたいと思います。
前回もお伝えしたように、道具や実況スタイルはオートレースに限ったことではなく、他の競技のアナウンサーそれぞれのスタイルを持っています。
今回ご紹介するのはあくまで僕のやり方ということで。

まず実況席です。
大時計のやや前、ゴール線よりは少し手前のこの位置。
尚、同じ部屋にCS放送のスタジオもあって、その部屋の一角に実況席があります。

座席右のモニターに3連単のオッズ。

左のモニターにレース映像が映し出されます。

アナウンサーによっては、このレース映像をメインに確認しながら実況される方もいるそうですが。
僕は走路から目を離すのが怖いので、先頭ゴール接戦の時くらいしか見ません(逆にスタート前はモニターしか見ません)
以前、ボートレースの実況をしていた時も、やはり水面から目を離したくないので、ハレーションで見えない時だけ頼りにしていました。

モニターを見ない代わりに、僕が走路以外で見るものがあります。

それはバック側にある大型ビジョン。
はい、伊勢崎オートが誇るこの大型ビジョン、これを使うのは選手がバック側を走っていて見づらい時。
例えば雨のナイター、反射して見づらいのです。
2番車(黒)、4番車(青)、6番車(緑)が同じ色に見えてしまうことが。
3番車(赤)、7番車(橙)、8番車(桃)も同様であります。
公営競技の実況アナウンサーは(恐らく)勝負服の色を見た瞬時に「何番!」と、すぐ反応します。
従って、本来は4番(青)と言うつもりが、黒に見えて2番と言いそうになったり、これが怖いのです。
反射的に番号が出るのが、良くも悪くもあるということなのです。
そんな時は第2コーナーまで追っていき、その流れでバック側のビジョンに目を移します。
これは便利!
毎回という訳ではないですが、大雨の時はもの凄く見づらいので重宝しております。
そして、選手もレース中に大型ビジョンを見ることがあるそうです。

ところで……「実況中に気を付けていることは何ですか?」と、聞かれることが多々あります。
基本中の基本は、名前、番号、着順を間違えないこと。
逆にここさえ間違えなければ、あとは割と自由です。
「絶対にこれを言え!これは言うな!」
というものもないので、あとはアナウンサーそれぞれの味やスタイルが出てきます。
10年前に公営競技の実況を始めてから、勉強がてら自分が担当する競技以外の実況を聴くようにしていますが、野球やサッカーにはない個性溢れるアナウンサーの多さに驚きを隠せませんでした(笑)。
余談ですが、普段公営競技にあまり馴染みのない方から
「レースの実況を聴いたんですが、あれって、台本があるんですか?」
と、年に1回くらい真顔で尋ねられます(笑)。
野球やサッカーなどと違って、レースが始まればゴールするまで喋りっ放しなのが公営競技の実況。
ズーッと、喋り続けている→→→台本があるはずだ!
そのように思ってしまうそうなのです。
「台本なんかあるかいっ!実況って、言っとるやん!何が起こるか分からへんから台本なんてある訳ないやん!」
あくまでも心の中での関西弁チックに返してもピンと、こられない方がほとんどですけれども(笑)。

という訳で、毎回、どのくらいのボリュームまで書こうか?と、悩んでいるのですが、今回はここまで。
「こういう時はどうしてるんですか?」
などの質問がございましたら、是非、教えていただきたいと思います。
答えられる範囲で、このコラムでお伝えできれば幸い。

さぁ、そして!いよいよこちらが始まっていますよっ!

オートレース界1年の総決算が開幕!
昨年は荒尾聡選手(飯塚27期)が制しましたが、今年はどんなドラマが待っているのか!?
ワタクシもまずは30日に現地観戦確定!
お年玉を自らの手で掴み取りにいきますよぉ!
もしくはレース後、西川口の街に消えていくかも知れません(笑)。

それでは、みなさん、良き年末年始を!

【略歴】


森泉宏一(もりいずみ・こういち)
1984年5月8日生まれ
東京都出身 広島県・富山県育ち

父親の影響もあり、学生時代は野球に打ち込む
25歳の時、ボートレースで公営競技実況デビュー
2017年4月から伊勢崎オートでオートレース実況を始める
公営競技実況の他、プロアマの野球実況
さらにはイベントや展示会の司会
広告モデルや話し方教室講師などでも活動
野球好きの選手からの誘いもあり、
伊勢崎オートの野球チーム「キラッツ」に入部
しかし、デビュー戦において投手で二桁失点を喫する
その為に最近、オートレース界隈でその実力が疑われている
某選手からの「投げるスタミナがあるだけで助かっている」
という慰めの言葉が唯一の救い

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