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2019/07/03

Koichi Moriizumi

『森泉宏一の実況天国』Vol.15

『森泉宏一の実況天国』Vol.15

研修は練習から。
審判室の真下にある、水面を一望できる部屋をお借りして、そこで実況を録音しながら練習。
その録音したものを師匠がリプレイを観ながらチェックして、アドバイスをいただくという繰り返し。
実際に喋ってみると、ボートのスピードが想像以上に速い。
しかもここは“日本一の静水面”と、呼ばれる多摩川、スピード戦が展開されるのです。
実況に限ったことではないと思いますが、上達するコツは『手本とすべき人の真似、コピーをすること』だと思います。
それでまずはベース・基礎を作り、そこから自分の色を出していくのがベストではないかと。
上手な人の真似をして、下手にはなることはないはず。
私は師匠である野村さんの実況を何度も聴いていました。
アドバイスをいただいている方のプレーを聴くことで、より理解が深まります。
ただ、当時は真似やコピーという発想はなかったものの。
仕事というのは身近な人に自然と似てくるんだなと、感じたものです。
それを物語るエピソードがあります。
この研修の数ヶ月後、実況デビューを果たした後のある休日、実家へ遊びに行きました。
実家で偶然、野村さんが実況をする多摩川のレースリプレイを観ていたら、たまたまその実況を聴いた母親が
「あれ?あんた今日仕事あったの?」
と、言うではありませんか。
なんと、実の親が間違えたのです。
「いやいや、そもそも今日はズーッと、この家にいたじゃない!」
と、ツッコミを入れましたが、それと同時に驚きを隠し切れませんでした。
当時、コピーをしようというところまで意識はなかったのですが。
親が間違えるくらい、自分でも無意識のうちに似てくるものなのかと。
以上、ちょっとした余談でした。

さて現地に足を運んでは練習&アドバイスを受ける日々が続く中。
ある日、大ベテランのアナウンサーであるゴン太さんこと糸井アナウンサーから一言。
「たくさん練習するのも良いけどさぁ。やっぱり、本番やらないと上手にはならないよ」
と、大ベテランならではの威厳と風格、そこからくる説得力。
威厳はありますが決して偉ぶることはなく、とても優しい大先輩です。
もちろん、恐れ多くて……ゴン太さんとは今でもご本人を前にその呼び方はできませんが(笑)。

そんな説得力あるお言葉をいただき、研修から約2ヶ月半。
冒頭で驚きを受けた、あの審判室の実況席で喋らせていただくことに!
あの席に座るまでの道のりは物凄く厳しく、髙い合格点が出るまでは座ることが許されない。
最低でも1年はかかるのでは?と、勝手に想像していたので、これは意外な展開。
とは言え『100回の練習より1回の本番』という言葉があるように。
本番をやることで課題が見えてくる。
そして、どんな練習が必要なのかも分かってくる。
これは大きくステップする重要な機会だ。

さぁ、次回はいよいよあの実況席に!
ところが、いきなりアクシデント発生!
森泉研修生は無事やり切れたのか!?

*パソコンに残っていた当時の写真の質が悪かったので……
野村達也さんから多摩川の写真を提供していただいた次第です
心から感謝申し上げます

【オートレース/今後のチャリロト杯日程】
8/1〜(伊勢崎)
9/15〜(飯塚ミッドナイト)

【略歴】


森泉宏一(もりいずみ・こういち)
1984年5月8日生まれ
東京都出身 広島県・富山県育ち

父親の影響もあり、学生時代は野球に打ち込む
25歳の時、ボートレースで公営競技実況デビュー
2017年4月から伊勢崎オートでオートレース実況を始める
公営競技実況の他、プロアマの野球実況
さらにはイベントや展示会の司会
広告モデルや話し方教室講師などでも活動
野球好きの選手からの誘いもあり、
伊勢崎オートの野球チーム「キラッツ」に入部
しかし、デビュー戦において投手で二桁失点を喫する
その為に最近、オートレース界隈でその実力が疑われている
某選手からの「投げるスタミナがあるだけで助かっている」
という慰めの言葉が唯一の救い

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