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2018/01/06

Yasuhiko Amano

天野記者の『オートレースNOW』Vol.5

天野記者の『オートレースNOW』Vol.5

劇的な結末が待っていた。2017年を締めくくる12月31日のスーパースター王座決定戦、優勝賞金3,000万円を懸けた激しいバトルを制したのは荒尾聡(飯塚27期=36歳)だった。開幕前は伏兵の域を超えなかった存在がなぜ優勝できたのか?レースの裏側には数々の人間ドラマが隠されていた。

荒尾は実に14回目の挑戦で、最高峰レースを初制覇した。SGは2007年オールスター以来、2回目の優勝。
「やったぜーっ!」と、叫びながらロッカーに戻ってくると、サプライズが待っていた。篠原睦ら飯塚の仲間たちの胴上げに、こらえていた涙があふれ出た。目を真っ赤にさせて、言葉も震える。
「2度と味わえない、そう思ったこともあって……夢のよう」
こちらももらい泣きしそうなほど、心を打つシーンを目の当たりにした。
表彰式では場内の荒尾コールを受けて、再び涙を流した。涙には前回のSG制覇から10年分の思いが詰まっていた。

大晦日決戦、グレード戦では恒例の「圭一郎VS他選手」の構図だった。4周1角から逃げる青山周平(伊勢崎31期=33歳)、2番手の荒尾、3番手に鈴木圭一郎(浜松32期=22歳)の白熱の戦いが続いた。8周3角で、捲り勝負に出た鈴木に対し、青山が外に張った。結果的にポカンと開いた内を荒尾が突き抜けた。
「中で我慢していればチャンスはくると信じて乗った」
描いていた作戦が見事に成功した瞬間だった。

青山がなぜそこまで、鈴木にこだわったのか?は2016年10月の全日本選抜にさかのぼる。スタートで飛び出した青山を鈴木がピッタリとマークして、1周回から2人の激しいバトルになった。そして、10周回4角の攻防が明暗を分けることに。鈴木が青山の内を突いて強襲、ゴール寸前で差し切った。5,100mを走って、わずか30cm差の劇的Vで鈴木が優勝した。SG最年少&デビュー最短でのV達成に鈴木は
「(青山)は外に行くと思っているはず。いつもと逆で内に切り返した」
そう振り返った。対する青山は「(鈴木が)内から来たので……」と、悔しさをにじませた。

さらに2016年のSS王座決定戦では逃げる青山を鈴木が追いかけ、最終周回1角で捕らえた。懸命に食い下がる青山が同2角で抜きにかかり落車のアクシデント。青山にとって鈴木はライバルであり、忘れようがない存在になっている。そんな深層心理が2017年の3,000万円争奪戦で現実になったのだ。

この2人の因縁はともかく、荒尾の優勝には積年の思いが詰まっていた。SGではそれまで優勝戦進出は実に40回もあり、準優勝が9回。頂上決戦でも2007、2016年には2着に入っている。何度もSG優勝戦に進出しながらもVが遠かった。これまで味わった悔しさを今回はシッカリ活かした。14年ぶりに水気を含んだ舞台(走路)にも不安はなかった。
「エンジンには自信を持っていた。斑(ぶち)走路に対応できるよう調整をしたし、それほど嫌いではないから」
2017年ラストを締めくくったのは、そう語った36歳の年男だった。

2018年のSG戦線は1月6~10日の全日本選抜(飯塚オートレース場)で幕を開ける。果たしてどんなドラマが待ち受けているのか?次回をお楽しみに、ご愛読の程、今年もよろしくお願い致します。

ちなみに前回の話題に挙げた記者の17年年末収支は大雑把ながら下記の通り。
24日=有馬記念とボートレースグランプリ/チャラ
28日=ホープフルS/マイナス
29日=東京大賞典/マイナス
30日=KEIRINグランプリ/マイナス
31日=クイーンズクライマックス/ややプラス
27日~31日=SS王座/マイナス
という具合にトータルではマイナスだったが、ちゃんと新年は迎えられました(苦笑)。

Text /Yasuhiko Amano

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