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2018/10/25

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=22 Hunting

日に日に秋が深まり、陽が落ちるのも早くなってきました。秋の夜長とはよく言いますが、その長い夜に眠りに就く前、みなさんは何をしていますか?テレビを観たり、読書をしたり、ミッドナイト競輪を楽しんだり、寝る前の時間も充実させたいですよね。私はその日に観たレースや買ったレースを思い浮かべては「いいレースだったなぁ」と、思い出していい夢を見られそうな気分になって目を閉じたり。または「あー、なんで裏を返さなかったんだろう」なんて悔しくなって逆に眠れなくなったりと……充実とは言えないかも知れませんけれども、寝る前も時々、競輪のことを考えたりします。そんな日々のレースを思い浮かべると共に、最近は前橋での寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントの決勝戦も繰り返し思い出しているのです。

10月初旬に行われた前橋G1。結果から言えば、脇本雄太(福井94期)選手がオールスターに引き続き、圧倒的な強さでG1連覇を飾りました。脇本選手のその驚異的な脚力、それをマークする三谷竜生(奈良101期)選手の強さを今年は何度となく実感。年末のグランプリはもちろんのこと、脇本選手に関しては2020東京五輪も楽しみにさせてくれています。
でも、私が何度となく脳内で再生しているのは、あの決勝戦で先行した清水裕友(山口105期)選手の姿です。清水選手は脇本選手の3番手から一気のカマシ。最後は脇本選手に捲られて結果は6着でした。これはタラレバですが、3番手にいたままならば、もっといい着を獲っていたかも知れません。G1の決勝で勝つため、また、グランプリを見据えて少しでも賞金を上積みするためにはどんな作戦を取ろうと、私は仕方がない(期待している走りじゃないと文句は言うかも知れませんが)と思います。でも、一か八か仕掛けた清水選手、レース後の清水選手の記事によると「3番手から脇本選手を捲れない」と、判断しての先行だったようです。あくまでも自ら動いて、チャンスを掴みにいった結果なのだと知り、改めて感動。それ以来、何度となく清水選手の走りを思い出し、勇気をもらっています。

日々、レースを観ていると、好きなレース、嫌いなレース、ワクワクしたレースなど、数多く印象に残るレースがあります。その中で時折、何度も振り返り、何度でも心を動かされて、いつまでも忘れられないレースが出てきますよね。
私は数年前、頻繁にオーディションを受けていた頃、よく深谷知広(愛知96期)選手の豪快な捲りの動画を見てからオーディションに向かっていました。前にいる選手たちを一気に飲み込んでいく走りを見ているとスカッとした爽快な気分になって、オーディションを頑張るぞ!と、気合を入れてもらっていたのです。他にも2016年の日本選手権競輪(名古屋)決勝の村上義弘(京都73期)選手の走りや、2015年の高松宮記念杯(岸和田)決勝の平原康多(埼玉87期)選手の走りなど、何度も観ては様々な思いを巡らし、競輪仲間と語り合う。そして、力をもらってきたレースが私の中にはあり、今回そこに今年の寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメントでの清水選手の走りが加わりました。

選手の走りを観ていると、様々な人の生き様が映し出されているように感じることがあります。心揺さぶられる走りからは「私もこんな風に生きたい、こんな人間になりたい」と、思わせられる憧れの生き方に映るのかも知れません。
再三になりますが、自ら動いて勝負を仕掛けた清水選手の走りは今の私にはグサッ!と、突き刺さりました。そんな風に心を動かす走りをしてくれた清水選手を追いかけていきたいと思います。

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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