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2018/11/17

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=24 Hunting

暦の上では立冬を過ぎ、いよいよ冬がやってきますね。この立冬とは二十四節気という暦法の中の一つで、冬の始まりの頃を表すそうです。二十四節気以外にも暦法の種類はたくさん、世界中の地域や文化、宗教などによってそれぞれオリジナルのものがあるとのこと。1年(平年)を365日に分けるグレゴリオ暦も暦法の一つなのだとか。
さて、そんな暦法ですが、競輪界にもオリジナルのものがあると私は思っています。グレードレースはもちろんですが、各競輪場でもほぼ決まった時期に開催されているF1、F2もあります。また、半年に1回の期変わり。そして、1年の締めくくりは12月31日ではなく、12月30日のKEIRINグランプリ。それらの開催がくることで季節の移り変わり、四季を感じ、時の流れを知る。まさに競輪界独自の暦法!これぞ“競輪暦”と、言えるのではないでしょうか。競輪界に足を踏み入れて5年経つと、そんな風に競輪界の時の流れで季節の移り変わりを感じるようになってきました。

今の時期は年末のKEIRINグランプリ前の最後の節目=G1競輪祭を目前に控えています。東京ではこの時期を迎えると、そろそろ冬物のコートを着始めるものです。そして、いよいよグランプリ出場権を懸けた争いも佳境に入り、競輪界は少しばかりソワソワした雰囲気が漂ってきます。
私が初めて競輪祭を現地で見たのは4年前、2014年の開催でした。初めての小倉競輪場、初めてのドームバンク、初めてのG1生観戦と、初めて尽くしの競輪祭でとてつもなく浮足立っていたものです。その頃は金網前で大声を出して応援するのが当たり前になっていたので、いつもの調子で選手へ大音量の声援を送っていると、自分自身の声がドーム内に響き渡って……少し恥ずかしくなってしまったことをよく覚えています。
競輪祭はグランプリ前の最後のG1レース、選手にとって最後のチャンスになる訳です。頭では理解していましたが、選手それぞれに、またファンにもそれぞれに、この開催に懸ける思いがあるということ。それを現地に足を運んで肌身で感じると、想像を遥かに超える感動の嵐でした。

決勝に勝ち進んだ選手の勝利者インタビューを観に行くと、お客さんから「(優勝を)獲りに行こうなっ!」という声援が飛びました。喧騒(けんそう)の中、その声はとても優しくもあり、力強く響き、選手はグッと、唇を噛み締めて頷いていました。その光景を思い出すと今でも胸が熱くなります。優勝しかグランプリ出場の道はない、競輪祭に出場する選手のほとんどがそうだと思います。一つ、一つのレースが選手とファンの夢に満ち溢れる反面で、夢に消えという大舞台。だからこそ競輪祭が特別な雰囲気を持つのだと感じたものです。
そして、なんと言っても決勝戦。既にタイトルを獲っている選手、賞金ランキングでグランプリ出場をほぼ確実にしている選手、何着までに入らないといけない選手、優勝しか道がない選手。それぞれの条件を持ちながらラインが組まれ、9人の選手が走ります。それをファンはどう感じるのか?どんなドラマを描くのか?そして、どんな車券を購入するのか?発走まで話が尽きることはありません。そんな思いを乗せての決勝戦は号砲が鳴る前からファンの熱気がドームを埋め尽くし、興奮が渦巻く何とも言えない空気感に包まれます。2014年、G1決勝初体験の私はその時点で訳も分からず感動して、泣いてしまいました。
今はネットで何でもできる時代です。私もそうですが、家にいながら入金し、投票し、レースも観られる。こんなにも便利な時代ですが、だからこそ生で観た記憶、肌で感じた体験は何にも代え難い財産となるのではないでしょうか。初めて観た競輪祭は私のその後の競輪ライフにとても重要な影響を及ぼしていることは間違いありません。
ネット配信の番組に出ながらこんなことを言うのもおかしいかも知れないですが、まだ競輪祭を現地で生観戦したことない方には是非、いつかあの独特な空気を感じてほしいと願います。

今年の競輪祭は初めてのナイター開催で6日制。さらにガールズケイリン選手にとっても最後のチャンス、ガールズグランプリのトライアルレースも行われます。
長丁場での開催、私たちファンも万全の体調と資金で挑みたいものですねっ!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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