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2019/02/06

Shinichi Gokan

『SPIRIT OF BOSS』Vol.5

『SPIRIT OF BOSS』Vol.5

Perfecta Naviをご覧の皆様、後閑信一です。
2月8日〜11日、別府競輪場で初めてのG1開催となる第34回読売新聞社杯全日本選抜競輪が開催されます。まず、今回の注目点は新田祐大(福島90期)選手、脇本雄太(福井94期)選手、深谷知広(愛知96期)選手=ナショナルチーム・メンバーの3選手が不在ということです。近年、ナショナルチームの桁違いのトップスピードに魅せられ、その他の競輪選手も対応して、肉体改造を試みる。また、自転車も変えるなどの対応策に追われています。はい、ナショナルチームの強さは率直に“競輪の生態系”にも影響を及ぼす衝撃的な強さ。ですが、上記の3選手が不在となった全日本選抜は一体、どのような展開になるのか?本来の“漢字で書く競輪”となり、ジカ競りなども観られるのではないかと、今から楽しみにしているところであります。

日本の伝統的とも呼べる“漢字で書く競輪”の雰囲気が変わりつつある時代になってしまうのかな?正直、そのように感じているところもあります。そうなってくると脚力差も顕著に表れ、追い込み選手にとっては死活問題。一生を貫いて競輪人生を送ろうと、競輪学校に夢を膨らませて入学をしても早過ぎるリズムについて行けなくなる者が続出。プロの力と技を磨いている競輪選手たちはアマチュア競技的なスタイルに変化をさせなければ、時代から置いていかれるようになってしまう。60歳……いや、65歳までは現役を続けたい!そう思っていた競輪選手寿命も、サッカーや陸上や野球のように35歳にもなれば40歳を見ずして引退。そんなアスリート的な時代になってきてしまうのではないか?何だか心配になってきてしまいますが、今開催はそういう部分は抜きで楽しめるはずです。

北日本からから順に、出場メンバーの顔ぶれを眺めていくと、まずは好調な山崎芳仁(福島88期)選手を筆頭に、渡邉一成(福島88期)選手、菅田壱道(宮城91期)選手、小松崎大地(福島99期)選手ら。さらに渋いところでは佐藤慎太郎(福島78期)選手、成田和也(福島88期)選手、菊地圭尚(北海道89期)選手と、かなり層は厚いです。

そして、関東に目を移すと、吉澤純平(茨城101期)選手、成長著しい鈴木竜二(茨城107期)選手、吉田拓矢(茨城107期)選手らの先行選手。そこに武田豊樹(茨城88期)選手、平原康多(埼玉87期)選手、木暮安由(群馬92期)選手たちが結束すれば、驚異の関東ラインが結成されます。

南関東勢は安定した強さを持つ郡司浩平(神奈川99期)選手、復調してきた渡邉雄太(静岡105期)選手、和田真久留(神奈川99期)選手も元気な存在!そこをピリッ!と、させてくれるのが司令塔・桐山敬太郎(神奈川88期)選手で、後輩たちに先輩選手としての背中をシッカリ見せている印象。前回の前橋F1戦では連日、2周を全開で逃げまくっていました。この桐山選手の存在感が南関東勢に凄く良い方向へ作用するように思えます。

浅井康太(三重90期)選手が率いる中部勢は竹内雄作(岐阜99期)選手が淡白なだけに……仕掛けるタイミングや雰囲気を他のラインに見極められないよう、相手に悟られないような走り方、新たな仕掛け方も身につけたいところです。

そして、現在のところ、鉄壁の近畿勢はグランプリチャンピオン・三谷竜生(奈良101期)選手とS級S班の兄弟、村上義弘(京都73期)選手と村上博幸(京都86期)をはじめ、稲毛健太(和歌山97期)選手や古性優作(大阪100期)選手、野原雅也(福井103期)選手と、実にブ厚い布陣です。

この近畿の巨大勢力を崩すには、やはり、先日の高松記念で初優勝を果たした太田竜馬(徳島109期)選手を擁する中国・四国勢。太田選手の成長なくして、中国・四国勢の発展はない!と、私は思っていますし、原田姸太郎(徳島98期)、小川真太郎(徳島107期)選手らと、巧く連携すれば、近畿勢に対抗できるに違いないと期待を寄せています。経験豊富な小倉竜二(徳島77期)選手、桑原大志(山口80期)選手、渡部哲男(愛媛84期)選手らの話しにも耳を傾けながら、最高の1年にして貰いたいもの。そして、忘れてはならないのが、今年からS級S班となり、初戦の立川記念でも貫禄の優勝、動じない走りで競輪ファンを魅了している清水祐友(山口105期)選手も健在です。中国・四国ラインがキッチリ機能すれば、間違いなく、一大勢力になるに違いありません。

九州勢は選手1人、1人がとても個性的。魅力のある強い選手たちがたくさんいるのですが、現状では中川誠一郎(熊本85期)選手の一撃に期待。もしくは山﨑賢人(長崎111期)選手のスピードを武器に、団結するといった方向性になるのではないでしょうか。

“平成最後”の全日本選抜、どのようなドラマが生まれるのか?
最後にもう1回、書きますけれども、楽しみで仕方がありませんっ!!

【略歴】

後閑信一(ごかん・しんいち)

1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である

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