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2019/04/03

Natsu Sakurai

競輪に夢CHU Vol.13

競輪に夢CHU Vol.13

みなさん、こんにちは!グラビア車券師・桜井奈津です。

別れ、旅立ち、そんなフレーズを意識するような季節がやってきました。
私はハッ!と、思い立って、一宮競輪場へ足を運びました。3月いっぱいでなくなってしまうと聞いていたので、どうしても足を運び、一宮競輪場の姿を自分自身の目で見ておきたかったのです。

その日はウィナーズカップの開催中で、車券を買いながら場内をグルリと、回ったりしていました。残念ながら車券は負けてしまったので、一宮競輪場から3kmくらい歩いて、ネットカフェに泊まることにしました。そこで、とある会見を観たのです。
子供の頃から、幾度となく耳にしていた名前。多くの人に夢や感動を与えたスーパースターは私のように野球にはあまり詳しくなくとも、当然、知っている。その偉大な人物……“イチロー”の引退会見でした。

オールスターも開催され、多くの人を夢中にした一宮競輪場。プレーや信念で多くの人を魅了したイチロー選手。それぞれの終わりと始まりが偶然のタイミングであっても、私は熱くこみあげるものを感じずにはいられませんでした。

イチロー選手の会見が終わった時、どの言葉よりも印象深かったのは、彼が持つ独特の“間”でした。
1人ずつ記者さんが挙手をして、質問を投げかける。鋭い眼差しでジッと、相手の目から何かを読み取る。その時間は僅か1〜2秒なのですけれども、恐らく、その場にいる誰もが、あるいは画面の前の私たちが、時間が止まっているような感覚、激しい緊張感に包まれることでしょう。
その緊張感は持続させたまま、イチロー選手は丁寧に言葉を紡いでいく。その独特の“間”は不思議なものであると同時に、心地良くもありました。そして、これこそが超一流の貫禄と、思わされたものです。この“間”があるからこそ言葉の一つ、一つが一層、響いてくるようにも感じました。

イチロー選手に関するこんなエピソードがありました。雨でゲームが中断してしまい、長時間、待機することになった時のことです。彼は持参していた自分専用の枕を使い、中断の間に仮眠を取る。そして、自分の“間”を乱すことなく、ベストなコンディションを維持していたそうです。

“間”とは言い換えれば、勝負の勘所とも言えるでしょう。自分自身の呼吸を整え、味方と息を合わせ、“間”を読んで、敵の意表を突いて戦いに勝つ。
競輪ならば、3分間の不規則な“リズム”の中にある“間”の読み合い。それはもちろん、レースの中でのこと。これらを必死に推理して、車券を買い、金網の外で見守る私たちと選手との勝負とも呼べるのではないでしょうか。
私はそんな“リズム”と“間”を共有する空間と時間がたまらなく好きなのです。

“間”に関して考えると、これらはトップアスリートに限らず、生きていくうえで様々なことに共通する大切なものです。対人関係での距離感、会話の中、あるいは仕事の場面でも……その時々の“間”と巧く付き合、いコントロールすること=自在性が重要となってくるように思えます。
それは本当に簡単なことではなく、私自身もまだまだ苦手意識もあるのですけれども、時にはそんな“間”にも注目しながら、感覚を研ぎ澄まし、競輪を楽しむのも良いかも知れません。

【略歴】

桜井奈津(さくらい・なつ)

1988年9月5日生

愛知県出身

青山学院大学経済学部中退

ミス東スポ2016グランプリ

KEIRINグランプリ2018 静岡アンバサダー

旅打ちが好き

全場制覇の旅は現在43場のうち31場制覇(2018年9月20日現在)

帰りの交通費がなくなるとsuicaをみどりの窓口で返却

デポジット500円を手に入れるという特技をよく使っている

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