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2019/04/13

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.45

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.45

新元号は 『令和』に!
5月になると新元号となり『令和』としての元年を迎える訳ですが、新元号が発表されてからは関連商品が飛ぶように売れたり、それに関連されるとされる場所が今まで以上に賑わったり。毎日、明るい話題のニュースに接する機会が増え、好景気になったような気になります。そうなりますと明るい気分になるもので、『令和』という年を迎えるのを今か、今かと、待ち焦がれながら過ごしている私がいます(笑)。
しかし、その反面、私の中では……これは錯覚、勘違いだったと、言われるような時代にはなって欲しくないという強い願いがあるのも事実です。それは秋には消費増税の予定もありますし、国内消費の減退が懸念されています。さらに諸外国に目を向けると、米中貿易戦争やイギリスの欧州連合離脱など、様々な問題を抱えている現況ゆえに景気の先行き不透明感も高まっているような気もするからです。来年には2020東京五輪が開催されるのですから、そこに向けてドンドン盛り上がり、好景気な時代を期待して、その好景気を背景に競輪界の売り上げも好調、業界としての成長も期待したいですね。

今の競輪界は攻めの姿勢を見せているように感じます。G1(小倉での競輪祭)初のナイター開催という施策を導入したり、ミッドナイト開催場の増え売り上げも好調で車券売り上げはプラスに推移していることは素直に喜べることではあります。ですが、他の公営競技と比較すると、売り上げ増加率は決して高くないということを踏まえると……さらなる攻めの姿勢、改革が必要だということも忘れないで欲しいと思います。

先日、日本競輪学校入学試験委員会において『特別選抜試験』で受験していた原大智さんを第117回生入学試験合格者として決定したことが発表されました。原さんは2018年の平昌冬季五輪にて銅メダル(モーグル)を獲得しており、まだ22歳という若さ!
尚、この『特別選抜試験』での合格者はこれで計8人目となります。第1号は植松仁(岐阜68期・引退)、その後は武田豊樹(茨城88期)選手がタイトルホルダー。大森慶一(北海道88期)選手は自転車競技において過去に国際大会でも活躍しており、永井清史(岐阜88期)選手は北京五輪ケイリンで銅メダル獲得。その他にも北津留翼(福岡90期)選手、柴崎淳(三重91期)選手、牛山貴広(茨城92期)選手と、名前を挙げれば、すぐに分かるような選手たちばかり。そして、一様に成長して、S級の舞台で戦っています。このことは原さん本人にとっては大きなプレッシャーになるかも知れませんが、プレッシャーに押し潰されることなく……他種目とは言え、世界で活躍してきた人間ならば、この程度のプレッシャーに負けることはないですかね。はい、この先、無事に日本競輪学校を卒業していただき、卒業後の躍進を今から期待したいものであります。

他業界で注目されてきた人間は、他業界からファンを呼んできてくれるという非常に大きなメリットもあります。ただ、勝負の世界である訳ですから、自転車一筋で頑張ってきた選手たちは「競輪のプロはそんな甘いものじゃないよ」と、奮起していただきたいです。このことによって、競輪界ますます盛り上がっていくのですから。

最後にとても個人的なことになりますけれども。花粉症に悩まされた時期もそろそろ終わり、次はダービー(松戸G1日本選手権競輪)で“懐の寒さ”に悩まされないように頑張りたい!そんな具合に気合が入っています(笑)。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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