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2019/05/22

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.48

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.48

2019年も間もなく5月が終わろうとしています。今年も「もうすぐ半年が終わってしまうじゃないか!」と、時の流れるスピードをシミジミ実感。そして、5月を迎える前は「今か、今か」と、新元号の令和が待ち遠しくて仕方のなかったワクワク感も忘れてしまいました。あの高揚感はまるで一昔前のことだったかのように、間もなく1ヶ月が過ぎようとしているのです。

令和を迎えるにあたり、特に直前の4月は様々な意味で心躍らせていたのは私だけではなかったと思います。では、実際に令和を迎えて、どうなったのか?私自身はまだハッピーな時代だと、思えていないのが正直なところ。
何度、車券を買っても獲れない、馬券を買っても惨敗。
馬主という私にとっての数少ない趣味くらいは楽しませていただきたいと、持ち馬を出走させたところ……返し馬の途中でジョッキーを振り落として放馬、よって出走除外。競走馬も競輪選手と同じようにケガなく、無事に帰ってくること願ってはいるものの、走ることなく無事に帰ってこられても(涙)。

長い人生、色々なことがあるとは言え、今はどうにも流れが悪い。こんな時は「焦らずに我慢!」に尽きます。ジタバタしてもしょうがないから時が経つのを待つのがベター。「時間が解決してくれる」と、思って過ごすしかない。
現役時代も落車をしたり、なかなか勝てなかったり、流れが悪いと感じることは何度もありました。そのような時でも練習だけはシッカリしていれば、必ず良い流れがくることを信じる。ジタバタと、悪あがきはしないようにしていたものです。
人間という生き物はなぜだか良い時のことはすぐ忘れがち。良い時が長く続いていたとしても、欲深いことにそれほど長く続いた気がしないもの。だからこそ流れが悪い時の過ごし方が大切なのではないでしょうか?悪い流れにどのように向き合い、いかにして脱出していくのか?そこは人間力を試されているようなところもありますよね。
私からできるアドバイスは前述したように「ジタバタしない」です。なるようにしかならないって、気軽に考えること。これが私の約半世紀の歴史の中で、何よりも効果があるように思えるからであります。

さて、個人ネタ(愚痴)はこれくらいにしておきますが、世間でもハッピーな話題が少なかったような気がしています。
米中貿易摩擦で株価は下落、日本経済にも大きく影響しそうな勢いで、消費税増税の時期延期の声もチラホラ。
北朝鮮では再びロケット発射訓練が再開され、某政治家に至っては「戦争しなきゃ領土返還問題に終止符を打てない」なんて呆れた発言も飛び出す始末。
国技である大相撲では新大関・貴景勝のケガによる途中欠場で、夏場所の盛り上がりに水を差した感になっている。
どうなる令和?今後は明るい話題を期待したいものです。

令和になっての競輪界はと、言いますと。
まず松戸G1日本選手権競輪を脇本雄太(福井94期)選手が完全優勝で制しました。
平塚記念は南関ライン5車結束ということで、他の4選手の苦戦が予想される中、松岡健介(兵庫87期)選手が優勝。
続く宇都宮記念では南関4車のラインに対して、単騎での戦いになった村上義弘(京都73期)選手が優勝を決めました。
このようにグレードレースに限って言えば、近畿勢の勢いを止められない現況です。来月には岸和田G1高松宮記念杯が開催されることからも、この近畿勢の勢いにはますます注目しなきゃいけないでしょう!もちろん、他地区の抵抗と反撃にも期待しています!

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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