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2019/07/09

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.51

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.51

「暑い〜!暑い〜!」という悲鳴を連日のように上げています。ですが、7月になったというのに陽射しには恵まれず、湿度が高くて蒸し暑い日が多い。各地で大雨警報や避難指示が出るほど雨の日が続いています。政治、経済に続き天候までも不安定な日本になって、大変な令和元年になっていますね。

私が現役選手の頃、この時期は梅雨がない北海道で練習していることが多く、その当時のことが懐かしいです。今はLCCという格安航空会社のおかげで、北海道まで数千円でいける時代になりました。しかし、金銭的には行きやすくなった北海道も今となっては雨の日が多くなり、練習へ出かけるには随分と先の天気予報も気にしないとなりません。ということで、今の現役選手にとってはプラスマイナスでゼロという感じでしょうか!?

私は引退してからは練習するということがなく、天候も気にしないで出かけることが可能。そのうえ毎年、この時期の北海道といえば、趣味である競馬の馬探しのために牧場回りに馬の競り場に足を運ぶことが目的ですそのため、この時期は競馬関係者とお会いすることがとても多くなる時期でもあります。先日、知り合いの馬主さんたちと食事をする機会に恵まれました。毎日のように競輪の車券も購入されている方も多く、競輪に関してもあれこれ話しを伺うことができました。そのような機会で、私なりに思ったことは……中央競馬会の馬主さんといえば、どこかの会社の会長さんや社長さんが大半です。
“長”は自分の会社を大きくするため、利益を出すための戦略には長けている方たちでもあります。その方たちから「競輪はなぜ各場の発走時間が同じになるのか? せっかく車券を買ったんだから、レースを観たいに決まっているでしょ?数分しかズレていなくてどうやって観るのか?」と、これは貴重なご意見を頂戴した次第。
カジノ場はご存知ですか?カジノ場には時計がありません。これは時間を気にすることなくカジノを楽しんで貰うため。また、昼夜も分からないように、部屋の中から外の景色も眺めることができません。トイレの場所も一番奥にあり、トイレから戻る時も直線じゃなく、色々なテーブルが気になるような曲線的配置にしてあります。このように隠された罠、もとい売り上げを伸ばす策略が考えられているのです。

今はミッドナイトも2場開催がほとんど。一つのレースを観たら、次のレースを買う。それからチャンネルチェンジで他場のレースを観て、次のレースを買う。再びチャンネルを戻して、そちらのレースを車券購入。その繰り返しで、ミッドナイト競輪ファンは夜が終わるらしいです。私もその内の1人に入っているから恐ろしい限りなのですが(笑)。ということは、どうして昼の開催もそうしてくれないのか?ごもっともな意見だと思ったので、ここに書かせていただきました。

その他にも面白い意見がありました。競輪選手の引退後の仕事先はマチマチですが、その選択肢に「場内の飲食店で働けるようになると良いですね。他にも場内で予想屋として働けると面白い、場内のファンは選手の予想屋をハシゴして回ると思う」というものです。
やっぱり、企業の“長”になるような方たちは色々な企画を思いつくものだと、黙って頷いているだけの私がそこにいました。

さて、今月はG2サマーナイトフェスティバルが別府競輪場で開催されます。 ナショナルチーム所属の選手が不参加なので“打倒・脇本!”の色合いはなし。久留米G3では関東4車ラインの二段駆けで平原康多(埼玉87期)選手が優勝。小松島G3では同じく地元・徳島4車ラインで太田竜馬(徳島109期)選手が逃げ切って優勝していますが、2月のG1全日本選抜競輪の中川誠一郎(熊本85期)選手のように、九州地区の選手たちが他地区の選手に優勝を持っていかれないために奮起する。これが大会を盛り上げる大きなポイントになる気がします。一次予選が3着=2人しか勝ち上がれないので、初日予選から見応えのあるレースが期待できます。あとは3日間、好天の中でレースが行われることを願いたいです。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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