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2019/10/29

Norikazu Iwai

京王閣G3で50億円超!

京王閣G3で50億円超!

久しぶりの明るい話題と言って良いだろう。システム障害、台風による中止順延、G1、G2開催でワーストに近い売り上げ。前向きな話しが一切、出てこなかった競輪界だが、本当に久々に関係者の顔がほころんだ。何かと言えば、10月22日に和田健太郎(千葉87期)の優勝で幕を閉じたG3京王閣競輪開設70周年記念『ゴールドカップレース』で、4日間の売り上げは52億円を超えた。目標は50億円であったのだから大成功だろう。今年度のG3で50億円を超えたのは6月の久留米記念だけだった。京王閣記念も3日目までは伸び悩んでいたが、祝日の最終日に盛り返し、大台を突破した。入場者数も4,000人を超え、京王閣競輪場が活気に溢れていたと、知り合いの記者から報告があった。

最近の傾向を言えば、各競輪場は「目標50億円」と、口を揃える。一昔前ならば少な目に言っておいて、腹の中は実際より多い数字だった。しかし、現在の腹の中は「40億円の後半なら良いし、半ばくらいでも」で御の字なのだ。ただ、最初から低い数字の目標を掲げていては格好が悪い、これに尽きる。であるから無理と分かっていても、表面上は50億円という数字を出す。これはG3だけでなく、G1、G2でも同じことであろう。逆に少ない目標を掲げて、目標達成を高々と、謳う競輪場もあるが、それはそれで情けない。

なぜ、京王閣記念は売れたのか?筆者の独断ではあるが、参加選手にあったと思う。中でも村上博幸(京都86期)、平原康多(埼玉87期)、郡司浩平(神奈川99期)は立派だった。ご存じのように前橋G1寛仁親王牌が台風19号の影響により2日目以降が1日順延された。その結果、最終日からこの開催の前検日まで中2日。平原、郡司はグランプリへ向けての賞金争いも頭にあったかも知れないが、村上にいたっては寛仁親王牌を優勝し、グランプリの出場権を得ている。ましてや村上の場合は家が京都である。関東の選手より前橋から自宅に帰るのは遅くなるし、当然のことながら移動距離も多い。それが僅かな差であっても、身体への負担は相当、大きいことは言うまでもないだろう。
やはり、村上、平原、郡司は責任感と言うべきか、現在の競輪界がどんな立場に置かれているのかを理解できている。だからこそ疲労困憊の中、嫌な顔一つ見せず、ファンの前に姿を現したのであろう。

村上、平原、郡司は決勝に名を連ねた。初日から見ていたが、疲れは明らかであり、本来のキレは見られなかった。そんな中でも最低限の義務、決勝進出を果たしたのだから、その走りは称賛に値する。結果はどうであれ、競輪界の現状を考えて参加した彼らの姿勢こそ、プロの鑑であろう。ハードスケジュールの中、彼らが参加したことをファンも理解している。自然と応援したくなるのが人情だろう。その結果、売り上げ増に繋がったと、筆者は確信している。

また、決勝の南関東勢の戦い方も立派だった。最近の南関東勢は妙にラインを強調している部分があったけれども、決勝は根田空史(千葉94期)―中村浩士(千葉79期)―和田の千葉3人と郡司―萩原孝之(静岡80期)に分かれて、真っ向勝負を演じた。これこそが本来あるべき競輪競走ではないか?策に溺れることなく戦った南関東の5選手には拍手を送りたい。そして、これも売り上げ増の要因の一つだったと言えるのではないだろうか。仮に南関東勢5人が連携していたならば盛り上がりには欠けていたかも知れない。
いずれにしても『52億円』という数字は今後に期待を抱かせるものであった。

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