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2019/12/11

Shinichi Gokan

『SPIRIT OF BOSS』Vol.14

『SPIRIT OF BOSS』Vol.14

話しはレースに戻りますが、スタートは1番車の松浦選手が取りましたので、必然的に関東勢は後方からの攻めとなりました。関東の先頭は吉田選手です。私が吉田選手の立場であったら、間違いなく残り3周あたりから前との車間を開けて、先頭の清水選手との間合いを取り、スパートした時に中国ラインには飛びつかせないように仕掛けたと思います!後ろはイエローラインより上に上がって良いのですから、山おろし(バンクの惰性)を使って、一気に仕掛けることも可能でしたし、観ているファンの皆様もさらに盛り上がったのでは?と、私は個人的に思います。

しかし、関東の先頭を走る吉田選手は残り2周半になっても前との車間を開けなかったため、清水選手が誘導員から車間を開けてペースを緩め、隊列に波を起こし、吉田選手にプレッシャーを与え、競輪のレースの流れを掴みました!
清水選手のペースにハマってしまった吉田選手は一緒になってペースを落としてしまい、そこから残り2周を迎えて、慌てて主導権を取りにいきました。清水選手に1度、ペースを落とされてからではいくら吉田選手が強かろうが、1コーナーの山を登らされますし、思うようなスパートができなかったのではないでしょうか。案の定、清水選手は冷静に後ろを確認しながら、吉田選手を待ってのイン粘りを敢行です!久しぶりに観た“これぞ競輪”でした。

清水選手は内側で巧く肩甲骨を使い、外並走の平原選手に対して動力を貰うかのような必要最低限の動き!対する平原選手のグランプリ出場条件は『失格はしないこと』なのです。いつもの平原選手であればアクシデント覚悟でも応戦するのでしょうが、今回はそのリスクも頭をよぎっていたのではないでしょうか?平原選手には『やられたらやり返す!』的な10倍返しの気持ちで、グランプリは頑張って貰いたいです!

このG1競輪祭は6日間場内において、ファンの皆様と触れ合いながら放送をしていましたが、これだけの臨場感が得られるエンターテイメントがなぜもっと世に出ないのか不思議でなりません。選手たちは幾度となく変わるルールの中でもシッカリ対応して、ギリギリまで追い込んでパフォーマンスを発揮しています!最高な良い素材はある!あとは美味く料理のできるシェフがこれからの競輪界には必要になってきているのではないでしょうか?
私なりにも今後、競輪復活へ向けて、少しでも恩返しができたらと__常に考えて、行動していきたいと思います。そして、年末のKEIRINグランプリ2019が今から楽しみですっ!!

【略歴】

後閑信一(ごかん・しんいち)

1970年5月2日生 群馬県前橋市出身
前橋育英高在学時から自転車競技で全国に名を轟かせる
京都国体においてスプリントで優勝するなどの実績を持つ
技能免除で競輪学校65期生入学
1990年4月に小倉競輪場でデビュー
G2共同通信社杯は2回(1996年・2001年)の優勝
2005年の競輪祭で悲願のG1タイトルを獲得
2006年には地元・前橋でのG1レース・寛仁親王牌も制した
その後、群馬から東京へ移籍
43歳にして2013年のオールスター競輪で7年ぶりのG1優勝
長きに渡り、トップレーサーとして競輪界に君臨
また、ボスの愛称で数多くの競輪ファンから愛された
最後の出走は2017年11月10日のいわき平F1
年末の12月27日に引退を発表
2018年1月に京王閣、立川、前橋でそれぞれ引退セレモニーが行われた
現役通算2158走551勝
引退後は競輪評論家やタレントとして活躍中
長女・百合亜は元ガールズケイリン選手(102期)である

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