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2019/12/25

Natsu Sakurai

競輪に夢CHU Vol.21

競輪に夢CHU Vol.21

みなさん、こんにちは!『旅打ち車券師』の桜井奈津です。

闇雲に競輪を追い掛けて旅をするうちに、先日、今ある全国の競輪場43場を全場制覇しました。その達成感から少し調子に乗って、これまでの『グラビア車券師』からコピーを変えて『旅打ち車券師』としてみたのです。『グラビア車券師』というコピーもなかなか気に入ってはいたのですけれどもね。

金網を握り締めて、レースを見つめた2017年1月の立川記念。あの日から見れば、見るほど。知れば、知るほど、私は競輪に心を掴まれていきました。本場観戦の魅力に惹かれ、初めは関東近辺の競輪場に足を運ぶように。そして、次第に地方でのお仕事や帰省の際にも近くの開催を調べることが癖になり……気がついた時には遠くの競輪場へも、普通に足を運ぶようになり、いつしか「よし、全43場を制覇するぞ!」と、目標を持つまでになりました。

私の場合、移動は徹底して『鈍行』もしくは『高速バス』を利用します。少しでも節約して、その分で夢(車券)を買いたいので!時間は要しますが、ゆっくり流れる景色を楽しめますし、読書や考え事にも有意義な時間となります。
ジックリ考える時間というのは大切です。旅をする意味というのは、私にとって考える時間の確保でした。見知らぬ景色の中で生まれる、新しい思考に出逢いたかったのです。

12月初旬、全場制覇まで残すところあと5場となり、今年中に達成しようと計画を立てました。まずは徳島まで夜行バスで向かい、早朝に到着して小松島競輪場へ。その後は高松(香川県)へ移動。高松競輪場を制覇して、再び徳島へ戻り、今度はフェリーで和歌山へ。和歌山競輪場からは難波へ出て、夜行バスで熊本へ出発。そして、熊本からいよいよ最後の地・別府へと向かいました。

2019年12月14日、ついに全場制覇を達成!目標を一つ叶えることができました。次はまず跡地を巡って、そのあとには2周目を!……と、企んでいます(笑)。

今回の夜行バスやフェリーでの移動中に思いを巡らせていたのは、これまで環境に恵まれて叶えることができた、一つ、一つの夢のこと。初めてバンク内に入ったこと。初めて検車場に入ったこと。そして、初めて最高峰のレース『KEIRINグランプリ』に携わらせていただいて、式典のステージに立てたこと。初めて前夜祭に行ったことも、初めてCS放送に出させていただいたことも……。大好きな競輪の魅力をトコトン伝えるお仕事ですので「好き」という気持ちだけで、ここまでガムシャラでした。恵まれていると、感じる一方で、他人が気になってしまったりして、フッと、不安になることも多くありました。けれども、こんなにも夢を叶えることができて、私は本当に幸せ者だと思います。

ここまでの過程こそが何よりの財産であり、大切なのでしょう。
そう改めて思えるエピソードが一つあります。

いつも検車場で取材をする際、私はある選手のことが気になっていました。その選手はいつも他の選手に身体の使い方や理論について説明したのですが、私はそれを眺めて、とかく不思議に思っていたのです。せっかく自分で懸命あれこれ試して見つけたことを簡単に他人に教えてしまうのは何だかもったいないな、と。不安になったりはしないのかな?と。

その疑問を投げかけた時に、その選手はこう言いました。

「僕がその良いと思うトレーニングやその理論を見つけるまで……つまり、そこへ辿り着くまでの過程で得ているものが圧倒的に大きい。出た結論だけを共有したとして、例えば、今日からその人がいくら真似しようと、僕がさらに進化し続ければ、追いつかれることって、永遠にないじゃないですか」

辿り着いたことではなくて、そこまで自分で切り拓いてきたという過程こそが何より重要なのでしょう。一つ、一つの競輪場への道程であったり、旅の途中で思考を巡らせた真面目なことであったり、どうしようもないほどくだらないことであったり。出逢った人や見たもの全てがいずれ自分の血となり肉となるのです。

車券が的中したレース以上に、外れたレースは多くあります。もちろん、結果は大事ですけれども、過程や内容はもっと、もっと大切です。その全てがきっといつか、車券の結果にも結びつくはずと、私は信じています(笑)。

【略歴】

桜井奈津(さくらい・なつ)

1988年9月5日生

愛知県出身

青山学院大学経済学部中退

ミス東スポ2016グランプリ

KEIRINグランプリ2018 静岡アンバサダー

旅打ちが好き

2019年12月14日に全43場制覇

帰りの交通費がなくなるとsuicaをみどりの窓口で返却

デポジット500円を手に入れるという特技をよく使っている

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