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2019/12/26

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.61

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.61

新元号の“令和”になり、浮き足立ったのも束の間、令和元年も残すところ僅か。競輪界では年末恒例のKEIRINグランプリに向けて、車番が発表されたり、前夜祭が行われたりで、皆様の気持ちも徐々に盛り上がってきていることでしょう。

では、今年のKEIRINグランプリ2019の出場予定メンバーを車番順に見ていきます。


1番車/中川誠一郎(熊本85期)選手
今年は年頭の別府G1全日本選抜競輪を優勝し、グランプリ出場決定の一番乗り。岸和田でのG1高松宮記念杯競輪も優勝して、参加メンバーで唯一、今年のG1を2勝しています。2月の時点でグランプリ出場を決め、年末に向けて計画的に練習を積んできたとすると、かなりのアドバンテージを得ていることになります。元々、ナショナルチームに所属していただけに、トップスピードは現在のナショナル勢にも引けを取りません。位置取りが甘いので、展開が味方してくれた時は十分に一発の可能性も。


2番車/松浦悠士(広島98期)選手
先行で戦っても通用する脚力をつけて、今年は安定した成績を残してきました。今年最後の小倉G1競輪祭で、清水裕友選手の捲りを差し切り、見事にG1初優勝。グランプリも清水との連携で、初出場初優勝の可能性は高いとも言えるでしょう。


3番車/脇本雄太(福井94期)選手
今年はナショナルチームの活動に専念して、日本での出走機会も少ない中、松戸でのG1日本選手権競輪では完全優勝を達成。大垣で行われたG2ウィナーズカップでも圧倒的な強さを見せての優勝だけに、好調で参加してくることができれば、抜けた存在感を見せてくれるはず。来年の東京オリンピックに繋げるためにも、是非ともKEIRINグランプリの栄冠は掴みたいところ。先行する可能性が一番高い選手ですが、ペース配分次第で圧勝の可能性も。


4番車/佐藤慎太郎(福島78期)選手
43歳という年齢を感じさせない安定感。この1年は別府G1全日本選抜競輪、名古屋G1オールスター競輪で準優勝と。大舞台での勝負強さを見せてきました。グランプリでは同県の後輩・新田祐大選手の番手戦だけに対応策はかなり必要でしょう。世界クラスのスピード捲りを差す脚、捲り不発になってもコースを選んで突っ込むなど、考えなければならないことは数多くあります。


5番車/清水裕友(山口105期)選手
今年はあともう少しというところでG1優勝を逃してきた。しかし、1年間を通しての存在感は抜群であったことは言うまでもありません。G1競輪祭の決勝で見せたイン粘りは最後の手段として、グランプリで見せる技だと思っていましたが、これで次の戦法が楽しみになりました。もうシルバーメダルで甘んじる気はないことからも最後は頂点に立って、令和元年を締めくくりたいところです。


6番車/郡司浩平(神奈川99期)選手
松阪G2共同通信社杯の優勝が大きく、賞金ランキングでグランプリ初出場。2017年に次点の悔しさを味わっているだけに喜びも倍増していることでしょう。初出場のグランプリは単騎での戦いになりますが、他人任せの展開にしないで、自分でレースを動かす気持ちが強ければ、きっとチャンスが回ってくるはずです。


7番車/新田祐大(福島90期)選手
脇本選手と同様に、今年はナショナルチームの活動に専念して、日本での出走はほぼありません。そのような中でも名古屋でのG1オールスター競輪で優勝を果たしてグランプリ出場権を獲得。オールスターの優勝はラインのおかげということを痛感しているとしたら、新田選手の走りには要注意。世界選手権のケイリンで銀メダルを獲得して、世界ランク1位に立った世界のスピードをグランプリでも目の当たりにすることができることかと。


8番車/平原康多(埼玉87期)選手
昨年に続いて、今年も無冠に終わってしまいましたが、ビッグレースでは何度も決勝に進出。そして、年間を通して、上位で戦いを続けてきました。それだけに2年もの間、無冠という言葉にピンと、こないファンも多いと思います。グランプリ出場も今年で10回目、単騎での戦いにこそなりますけれども、そろそろビッグプレゼントがあってもいいような気がします。


9番車/村上博幸(京都86期)選手
今年は別府G2サマーナイトフェスティバルを優勝し、前橋G1寛仁親王牌では約5年半ぶりのG1優勝でグランプリ出場を決めました。立川でのグランプリ優勝は経験済みで、村上選手としては良いイメージを持って、臨める舞台でしょう。今年は脇本選手の番手を回れることで、最も優勝に近い位置でもあり、最も遠い位置でもあります。まずは最終4コーナーまで追走することに集中できるかが鍵になります。

令和元年という節目に名前を残す選手は誰なのか?走る選手も、観ている側もワクワクするのがKEIRINグランプリです。
残念なことに平成元年という節目のグランプリは開催中止になっています。この令和元年の開催がまずは無事に終了することを願うと共に、皆様方が良いお年をお迎え出来ることを祈願しています。
そして、末文になってしまいましたが、今年も1年、どうもありがとうございました!

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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