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2020/02/14

Norikazu Iwai

特別昇班を決めた寺崎&菊池!

特別昇班を決めた寺崎&菊池!

競輪界にとって、久しぶりに明るい話題だ。日本競輪選手養成所を早期卒業した117期の寺崎浩平(福井)と菊池岳仁(長野)は昨年12月のクリスマスに同期の仲間を置いて、一足早く伊豆の山中から羽ばたいた。早期卒業制度は103・104期から導入されていたが、過去、適用者はいなかった。この制度は養成所の記録会においてゴールデンキャップ(200mFD、400mFD、1,000mTT、3000mTTで定められた以上のタイムを出した者に与えられる。細かい設定タイムは割愛)を獲得した者が早期卒業の対象となる。117・118期は男女ともポテンシャルの高い選手候補生が揃っているが、中でも寺崎と菊池は抜群であった。

2人は競輪界の大きな期待を背負ってデビュー。まずは寺崎が1月16日からの和歌山F2でデビューすると簡単に3連勝。続く奈良F2も3連勝。特別昇班が懸かった四日市F2も当然のように完全優勝。一方の菊池も負けてはいない。岐阜F2、京王閣F2。そして、9日に終わった宇都宮F2で9連勝達成。早期卒業の2人が期待通りの強さで、A級2班に特別昇班を果たした。本人たちよりも早期卒業させたJKAの方がホッと、したに違いない。もしもどちらかが失敗していたら、面目は丸潰れだったのだから……。

ただ、喜んでばかりはいられない。果たして、2人は本物なのだろうか?チャレンジは勝って当然とも言えるし、A級1・2班戦でも恐らくは9連勝で、S級に特別昇級を決めるだろう。問題はS級で通用するかどうかだ。正直なところ、筆者は現段階では、2人にスター性をまだ感じていない。失礼な物言いになるかも知れないが、深谷知広(愛知96期)がデビューした当時と比べると、小粒感は否めない。深谷ほどではなかったが、脇本雄太(福井94期)も最初からスター性があったと、感じている。ここは今後の躍進に期待したいところだ。

寺崎と菊池の2人はナショナルーチームBのメンバーでもある。養成所時代からナショナルチームのヘッドコーチであるブノア・ベトゥの薫陶(くんとう)を受けている。トレーニングだけでなく、精神的な部分でも彼らには大きなプラスとなっているだろう。
近年、業界は本当の意味でのスター不足に悩んできた。今でもスターと呼ぶにふさわしい選手は一握りだけだ。スターはただ強いだけではなく、業界外にもアピールできる力を持ち合わせていなければならない。スターは作るものではなく、スターは勝手にスターになり、周囲の評価と評判を得て、スーパースターになっていく。一時期はスターを無理矢理に作る風潮があったが、それもいつの間にかなくなった。それは非常に良いことだと思っている。

話しを2人に戻そう。言うまでもなく、寺崎と菊池は2024年パリ五輪の有力候補だ。今年はまだしも、遅くとも2022年には競技に本腰を入れなくてはならなくなる。その時、彼らが競輪界を席巻するポジションにいたら、JKAはどう扱っていくのだろうか?五輪を優先させれば、競輪競走で走る機会が少なくなる。競輪を優先させれば、五輪が遠のく。このギャップをいかにして埋めていくかが関係者の課題であろう。
競輪界にとって人気回復の起爆剤になれる可能性を秘めている寺崎と菊池。そして、117期には平昌五輪モーグルの銅メダリストの原大智もいることは忘れてはいけない。強さと話題性のある117期を__言葉は悪いが、いかに利用するか。JKA、及び関係団体の真価が問われるところだ。

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