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2020/03/04

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 55 Hunting

新型コロナウイルスの影響で、当面の間はお客さんを入れないレース開催が決定され、奈良競輪場の開設記念は静かに始まり、4日間の開催を終えました。

無観客開催__。この単語自体は競輪界で珍しいものではありません。深夜に行われるミッドナイト競輪はいつだって無観客。金網越しに1人もいない静かな競輪場で、レースが開催されています。でも、太陽の上がっている昼間に、仕事帰りの夜に、ファンの声援が少しも聞こえない静かなレースというのはとても不自然で、事態の異様さから不安を感じずにはいられません。特に競輪場の開設記念と言えば様々なイベントが組まれ、普段、競輪場にくることがなかった人にも足を運んでいただけるチャンスです。そのために準備してきた関係者のみなさんの無念を思うと、いたたまれなくなります。そして何よりも三谷3兄弟をはじめ、地元選手の熱い走りを多くの競輪ファンが楽しみにしていたに違いありません。地元選手の地元記念に対する思い、そして、地元ファンの地元選手に対する思いは特別なものがあります。そんなファンのみなさんが本場で声を出し、車券を買って応援することが叶わないのだと思うと、本当に心が痛みます。一刻も早い事態の収束を願うだけでなく、私1人では微力も、微力ですけれども、外出しなくても可能なネット投票やSNSの更新で、競輪界を少しでも元気に、前向きに保っていきたいところです。

昨年、秋頃のコラムでも書きましたが、ここ1年程で台風などの天災や不測の事態による順延や中止を何度か経験しました。そして、今回の無観客開催。開催があるだけファンとしては嬉しいですし、体調管理をシッカリ行い、元気に走ってくれる選手には感謝しきりですけれども……こういう世の中が不安に包まれた状況になる度、競輪を楽しく買えるのは日々の変わらない日常があるからなのだと、感じます。当たり前の日々が当たり前に続くと思っているから、私はお金を賭け、レースを観て、泣き笑いできるのでしょう。

たった数分のレースに、いくら賭けて、いくらになったのか。ギャンブルは刹那的にも感じますが、実はそうではないのかも知れません。少しでも儲けようと、資金配分をしたり、レースを観る度に選手を覚えていったりと、様々な形で楽しむことができます。それは今だけではなく、この先に、ある程度の未来が続いていくという希望も含めた大前提があるからこそではないでしょうか。今日で地球が終わるのであれば選手の特徴を覚えておく必要もないし、あの世に持っていけないお金を増やしても仕方ない訳ですから。
明日も見えないような不安の中で、競輪に限らず、娯楽に分類されるものにできることは、皆無に等しいです。今回のように予測ができない状況で、とても競輪を買う気持ちにはなれないという人もいるかも知れません。それでも、またいつか穏やかな日常が戻ってきた時に競輪場や競輪を楽しめる場所が変わらずあるように、私にできることは何だろう?と、考えさせられる日々です。
1日でも早く、競輪場で、みなさんと元気にお会いする日がくるのを待っています!
手洗い、うがい、元気な気持ちを持って、どうか健やかにお過ごし下さい。

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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