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2020/05/18

Norikazu Iwai

移動抑制

移動抑制

5月14日、緊急事態宣言が39県で解除された。やや中途半端な感は否めないが、感染者数の減少と経済状況を考えてのことだろう。競輪は2月27日から無観客開催が始まった。そして、その後の緊急事態宣言を受けて、多くの競輪場が開催を中止してきた。その一方、頑なに開催をしてきた競輪場もある。中には特定都道府県に指定されながらも開催をした場もあった。開催か、中止か、これに関しては賛否両論だろう。しかし、残念であるのは競輪の開催有無について国民の関心が低すぎることだ。

ここ最近、新型コロナウイルスの話題ばかりで恐縮だが、やはりこの業界の『闇』ともいうべきか……後手、後手の対策が改めて浮き彫りになった。何かと言えば、6月から全国を3つに分けて開催する『移動抑制』たる制度をJKAが8日に発表したのである。『北日本・関東・南関東』『中部・近畿』『中国・四国・九州』にグループ分けをして、この中での対戦になるというもの。だが、なぜ6月なのか? 他の公営競技では既にこのような制度は始まっている。何を今さら感が強い。もちろん、やらないよりはマシだが、いかんせん遅すぎる。「既に斡旋が決まっている」とのことだが、今の状況を考えれば、斡旋云々を言っている暇はないだろう。
そして、地区割りだ。あまりにも単純すぎる。移動制限というならば3区域に固執せず、もう少し柔軟にできなかったのだろうか?私案だが、『北日本・群馬・茨城・新潟・栃木』『東京・埼玉・千葉・神奈川』『静岡・中部・近畿・中国の一部』『中国の一部・四国・九州』のような形ではいかがであろうか?特に気になるのが、中部と近畿である。なぜ、ここだけ2地区に限定されているのか疑問符がつく。ただでさえ中部と近畿はよく連携している。仮に中部の選手だけで決勝が争われた時、ファンは疑心暗鬼に襲われるのではないか。そして、中国・四国・九州が一緒であるのも違和感を覚える。選手数などの問題があるのは分かるが、移動制限を考えてのことであったら、もっと細かく検討すべきであっただろう。

寄付に関して、選手会富山支部が100万円を富山市民病院に寄付した。回り、回って、どこで何に使われるか分からない寄付よりベターだろう。当然のことながら寄付は善行の一つである。今後も世間が納得のいく寄付の仕方を考えていくべきだ。
JKAは新型コロナウイルスの拡大防止策の支援として、希望する法人に総額1億円の補助を発表した。だが、これは少し上から目線に感じてしまった。まずはボートレースのようにまとまった寄付を行い、そのうえで補助をするならば理解できる。でも、それもなし、いきなりである。申請があってから考えるのでは優しくない。それゆえに何とかこの難局を乗り切ろうとする気持ちがこの業界からはなかなか伝わってこないことに繋がる。1人、1人は何とかしようと思っていても、それをコントロールする中央が機能していないように感じてしまうのだ。今に始まったことではないけれども、しつこいようだが、JKA・日本競輪選手会・全国競輪施行者協議会の主要3団体は一つにまとまって、対応策を考えるべきであろう。

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