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2020/09/07

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

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恋して競輪ハンター 67 Hunting

松戸競輪の開設記念に続いて、小田原競輪での開設記念と、南関地区での33バンクでの記念が続きました。33バンクでのレースの面白さは前回のコラムでも触れましたが、小田原競輪も熱いレースばかり!私は4日間、チャリチャン@チャリロトで、元競輪選手の加藤慎平さんと放送していたのですが、丁寧にレース回顧していただいたり、選手心理などを教えていただいたりと、とても濃厚で、競輪の奥深さをさらに知ることができた4日間でありました。
20年間、競輪界のトップで活躍してきた慎平さんのお話しを伺っていると、本当に驚くことや、なるほど!と、思うことが多くあります。このコラムでも何度か書いているかとも思いますが、金網を隔てたバンクの中と外ではどうしても感覚の違いがあるもの。理由は様々あれど、その中の一つに選手心理を読む立ち位置の違いがあるのではないでしょうか。
私たち車券を買うファンは「どうしたら、この選手が勝てる(車券に絡む)のか」というところから選手心理を読むことが多いように思います。選手も基本的には1着を目指すために走るので、それは間違いではないかと。しかし、選手の中にはもっと複雑な心理があるようにも感じます。

それを改めて感じたのは今回の小田原記念の決勝戦。地元の松井宏佑(神奈川113期)選手、郡司浩平(神奈川99期)選手、和田真久留(神奈川99期)選手の神奈川3車ラインに対して、S級S班の松浦悠士(広島98期)選手ラインと、吉澤純平(茨城101期)選手ライン。強固な神奈川ラインに対して、自力でも自在にも走れるS班の松浦選手がどう戦うのか?松浦選手の心理を読んだファンは多かったことでしょう。スンナリ3車を出した勝負では勝てない、そうなれば勝つために松井選手の番手へ行くこともあるかも知れないと、考えたファンも当然、多いことかと。では、その中で『外競り』を予想したファンはどれだけいたのでしょうか?
33バンクでの競りは内が有利だと言われています。素人の説明ですが、33バンクはカントがキツイが故に外へ、外へと、身体が振られる状態になるので、内が有利になることは想像がつきますよね。松浦選手が単純に競り勝つことだけにこだわれば『内競り』という選択肢があったかも知れません。しかし、選んだのは敢えての外競り。現在の競輪は地域意識が強い競技であり、神奈川の競輪場の開設記念で、地元選手へ競りにいくことに対する“競輪選手・松浦悠士”の礼儀なのだとも感じました。

車券を買う競輪ファンとしては競る、競らないまでは考えられても「どういう思いで、どう競るのか」というところまでは考えが及ぶことは少ないでしょう。そこまで考えたら、車券が当たるのか?と、言われると、そうとも言えない気がしますし……。そこがどうしても金網の外からは汲み取り切れないところなのでしょうね。

S級S班の赤パンツを着用している者としての自覚、自分に期待してくれるファンに応えるということ、勝負の世界を生きるということ。金網の外から見ている私たちの想像を超える葛藤や思いがあるのでしょう。決勝戦後の取材でも「これが正解か分からないけど」というコメントも目にしました。ファンにとっても感じ方はそれぞれ違うと思います。私個人としては想像を超えた松浦選手の走りに、そして、番手を守り切った郡司選手の走りにワクワクさせて貰いました。この一戦が後々の松浦選手や郡司選手の意識に、どんな影響を与えるのか?これから先、幾度となく対戦するであろう若いトップスターたちの未来に思いを馳せていたら、車券が外れたことなどはスッカリ忘れて、何となく満足した気持ちで小田原記念を終えることになりました。

8月も終わり、年末までは残り4ヶ月。KEIRINグランプリ2020の出場を懸けた争いは残り3ヶ月の勝負です。G1を獲った3人(清水裕友選手・脇本雄太選手松浦悠士選手)以外の獲得賞金ランキングに、まだそこまでの差はありません。一つ、一つのレースで、選手の想いに想像を膨らませながら年末の平塚に向け、一層、私も気合を入れて、車券予想に励んでいきますっ!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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