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2020/11/30

Norikazu Iwai

2020年の競輪祭を終えて

2020年の競輪祭を終えて

コロナ禍に見舞われた今年の競輪界。最高の栄誉とされるG1日本選手権競輪(静岡競輪場)が中止になるなど、業界は苦境に立たされた。その中、23日に終わったG1朝日新聞社杯競輪祭(小倉競輪場)で、12月30日のKEIRINグランプリ2020(平塚競輪場)に出場する9選手が決まった。競輪祭の優勝は郡司浩平(神奈川99期)、6回目のG1決勝で悲願を達成した。同じ神奈川の松井宏佑(113期)の先行を利して、最終2コーナーから番手捲り。平原康多(埼玉87期)の追撃を振り切ってのVだった。郡司は賞金面での出場をほぼ確定させていたが、この結果、堂々と、G1タイトルホルダーとして地元のグランプリに臨むことができる。

今年のグランプリに出場する9選手であるが、郡司をはじめ、今年のG1タイトルを獲った脇本雄太(福井94期)、松浦悠士(広島98期)、清水裕友(山口105期)。昨年のグランプリチャンピオン・佐藤慎太郎(福島78期)も賞金ランク6位で出場権を得た。東京五輪代表内定の新田祐大(福島90期)は競輪祭の決勝5着ながら賞金ランク8位。初出場を決めたのは7位の和田健太郎(千葉87期)と9位の守澤太志(秋田96期)の2選手となった。
北日本が3人、南関東が2人、中国が2人。そして、脇本と平原が単騎になりそうな構図だ。

決まったメンバーを見ると、世代交代が進んでいるという印象を受ける。グランプリの常連である村上義弘(京都73期)、博幸(86期)の村上兄弟、武田豊樹(茨城88期)、浅井康太(三重90期)などの名前がない。ただし、今年は日本選手権が中止になったこともあり、こういう構成になったとも思える。

話題を競輪祭に戻そう。本場での入場は制限され、九州4県から抽選で毎日2,500人のファンが観戦できるようになっていた。しかし、テレビの画面越しに見た限りではスタンドはガラガラ。売り上げは目標の110億円を上回る114億9,406万4,300円だったが、初日と2日目の入場者数は僅か数百人だったそうだ。競輪祭以前の大会でも入場制限はしていたが、同じようなことが起こっていた。今後、入場制限をするのであれば__その在り方を考え直さなければならない。細かく言えば、何人の応募があったのか?という詳細も知りたいところだ。

レースについても思うことがあった。それは最終日を迎えた賞金ランクのボーダー上にいる選手の走り方だ。山田英明(佐賀89期)と守澤の2選手に関してだが、正直、1円でも多く稼ぎたい気持ちが伝わってこなかった。何が何でも1着になり、その上で最終レースの結果を待つ。以前はその緊張感が選手にもあったし、車券を買う側の人間にもあった。1着であれば出場の可能性があると思った時、迷うことなく、その選手から車券を買った。今回も私は山田と守澤から目一杯に買った。初のグランプリ出場が懸かっている、そうであれば死ぬ気で走るはず。それを元手に決勝を買えば良い。こう思っていたファンは私だけではないだろう。仮に勝てなくても良いから、せめて最後の最後まで死力を尽くす走り__。それがファンに伝わる走りをして貰いたかった。もちろん、レースは“ナマモノ”だ。展開一つでどうなるか分からない。それでも、どうにかしたいという気持ちが伝わってきて欲しかった。

新田祐大が滑り込んだおかげで、東京五輪代表に内定されている2選手がグランプリで顔を揃えることになった。JKAや関係団体はグランプリに合わせて、五輪を猛烈にアピールしていただきたい。優勝賞金の1億円だけではなく、東京五輪の前哨戦みたいなイメージで盛り上げるべきであろう。競輪を世間に知って貰うためにも、代表2選手を有効に使うべきであろう。

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