TOP > コラム > 『森泉宏一の実況天国』Vol.44

コラム

一覧へ戻る

コラム

2020/12/03

Koichi Moriizumi

『森泉宏一の実況天国』Vol.44

『森泉宏一の実況天国』Vol.44

島「あれ事前に許可も得ずに、勝手に言ったんですよ。しかも前から温めていたものではなくて、遠藤選手が走っているレースの実況中に思いついて。実況しながら、あっ、このままいけば遠藤選手が勝つ展開だと。ここで言ったら、面白いだろうなと」
森「それで言っちゃって、遠藤選手はすぐに気づいたの?」
島「最初の時じゃなくて、2回目の時かな。ロッカーに行ったら遠藤選手から『イッツゴーンヌ、言ってるじゃん!』って、メッチャ嬉しそうにしていました(笑)」
森「あれを初めて聞いた時は衝撃的。うわ、ゴーンヌ言うとるって!どういう経緯なのか凄く興味が湧きましたよ」

森「実況の時に気を付けていることは?」
島「色々、考えるんですけど、スタートしたら全て忘れちゃうんですよ。スタートする前は『さっきのレース、あそこを失敗したから、ここを気を付けよう』とかは考えるんですけど。その辺り、ちゃんと自分を上手にコントロールできれば、もっと巧くなるんでしょうけどね」
森「よく『何年ぶりの優勝、優出』って入れるよね。あれを聞くと、ファンの方はより応援しようと思うし、そう思っている人も多いんじゃないかと」
島「それはありますね。僕もそういう気持ちになりますから」
森「先程、話していた、巧くなりたいというところでいうと、手本にしている、あるいは目標にしている、尊敬するアナウンサーはどの方になりますか。師匠は?」
島「師匠という師匠はいないですね。一応、テレビ局を受ける時、スクールに通って……」
森「ちょっと待って!局アナ試験を受けていたの!?」
島「そうですよ。普通にフジテレビとかTBSとかテレビ朝日とか……就職活動で」

なんと!島田氏が局アナ試験を受けていたことが発覚!

島「地方局も受けて。宮崎とか。就活なのにバイクとフェリーでいきましたけど。受かる気はゼロ(笑)」
森「うははははははっ!旅行気分やないか!」
島「実際、面接の次の日に旅行へいきましたけどね(笑)」

島「特定の誰かを手本にするというのはないですが、森泉さんも含めて、どのアナウンサーも良いところがあるので、それぞれの良いところを取り入れられたらとは考えています。あと、僕の目標は『自分の100点を1回出すこと』です」
森「ちなみに今までの最高点は?」
島「今まで……50点を超えたことはないですね。100点を出したら、喋りを辞めようと思っていますから」
森「それは逆に100点を出して欲しくないねぇ、業界的にも」
島「自分で100点が出ない自信があるから、公言しているのもあるんですけどね。実際に100点が出た後、もう1回、喋りたいって、思います?」
森「確かに100点が出たら……うーん、どうだろう!?」
島「人生のMAXが出たら、そこで終わりたいですもん。例えば、8レースでそれが出たら、次の9レースは喋りたくないなぁって」
森「良い状態で終えたい」
島「でも、恐らく100点が出ることはない。実況って、100点が出ない仕事だと思いませんか?」
森「思うっ!」
島「でしょ!他のアナウンサーもそうだと思う。僕の中では自分が納得、満足ができる、100点を出すのが目標だなと。一生、出ないけど、目指す価値はあるかなと」
森「最後になりますが、ズバリ『実況とは?』」
島「実況とは誰でもできるもの!」
森「その心は?」
島「目で見たものを伝えるのが実況。だって、みなさんも目で見たものを喋るでしょ?」
森「とは言え、それを仕事にするとなると……時々、言われるんですよ。レース実況に台本はあるのですか?と。止まることなく、スラスラと喋っているので、台本があるんじゃないか?そう本気で聞かれることがあって。それを誰でもできるって……」
島「実況は誰でもできるものではあるけど、それが放送で使えるものか。アナウンサーとして、仕事として成り立つものかと言えば、かなりの高いレベルが必要になる」
森「要は使いものになるかは別だと」
島「そういうことですね。練習すれば誰でもできるものだと考えているから、特殊技能ではないと、僕は考えています。だから間違えた時に何か言われても仕方ないのかなと。もちろん、言い過ぎ、極端な意見だとも思っていますよ。ただ、誰でもできるけど、巧いかどうかは別な訳で。だから『実況とは?』と、尋ねられたら、誰でもできるけど、誰でもできるものではない。これが答えですね!」

1234

ページの先頭へ

メニューを開く