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2021/01/19

Norikazu Iwai

2回目の緊急事態宣言後の競輪界

2回目の緊急事態宣言後の競輪界

正月気分が抜けない7日、政府が2回目の緊急事態宣言を発した。東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県。昨年11月からのコロナ感染者数を見れば遅いだろう。首相肝いりのGO TOトラベルも、いつの間にか消滅。競輪業界でも毎日とまではいかないが、感染者は着実に増えている。第3波と言われているが、昨年4月の比ではないだろう。さらに13日には宣言の対象に、栃木・岐阜・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡が追加された。その他にも独自で警戒宣言のような形を出している地域もある。
高校バレーやバスケットボールなども開催は強行したが、徹底した管理で1人でも疑いがあった時点で、その高校は辞退に追い込まれた。では、競輪界はどうであろう。昨年4月、立川と京王閣は無観客開催ではなく、開催中止の措置を取った。聞いた話では緊急事態宣言下、それも首都・東京での開催はできない、との判断であった。神奈川や千葉などが無観客で行う中、東京都は徹底していた。だが、今回は京王閣開催が始まるタイミングで、緊急事態宣言が発令された。京王閣が選んだのは開催。それもファンを入れての開催だった。最終レースを発走19時50分にしたのは、飲食店に対する時短営業の20時を考慮してのものだと思われる。しかし、これには無理もある。大体、最終レースが終わるのは、19時55分前後。それから競輪場を出れば、20時は超えてしまう。飲食は20時までで、競輪場は20時を超えていても構わないのだろうか?東京都も競輪に関しては何も言わない。他県でも開催はするが、やはり、無観客で行っている。
ファンを第一に考えるのは良いことだろう。無観客開催ならばファンには迷惑が掛からない。だが、肝心なところを忘れているのではないか?選手同士の感染、関係者の感染だ。耳を疑ったが、緊急事態宣言下での京王閣ではマスクを常に着けていない選手が何人もいたという。レース終了直後は致し方ないが、そうでない時にもしマスクを着けていなければ大問題だ。即刻、契約を解除すべきであろう。経済産業省の役人が現場で確認すれば良い。この状況下でマスクを着けていない人間がいるとは考えられない。

前述したが高校生の全国大会では1人でも疑わしかったら、もう出ることができない。バレーボールのある高校はコートで練習している最中、辞退に追い込まれた。アマチュアの大会でここまでやるのだからプロならもっと厳しくなくてはならない。確かに経済を回すため、というのも理解はできる。しかし、それは1回目の緊急事態宣言時の話しであろう。それとは比べものにならない程、今は感染者が出ている。スポーツ界では取材する人間にも、半ば強制的にPCR検査を受けさせる動きも出てきている。今更感は否めないが、それでも、やらないよりはやった方が良い。最近は唾液検査で結果もその日のうちに分かることもあるらしい。昨年から何度も書いてきたが、業界はどこを向いているのか。競輪界も全選手に加え、関係者、取材記者にもPCR検査を義務づけるべきではないだろうか。それが世の中のスタンダードになってきている以上、見て見ぬフリはできない。それとファンを場内に入れた場合、住所や氏名を確実に把握しているのか?追跡調査をするためには絶対に必要なことでもある。残念なことに特別競輪以外での開催では聞いたことがない。緊急事態宣言が出なくても、追跡調査用にファンの行動を把握するのは当然のこと。ましてや“公営競技”を謳うならばなおさらだ。疑わしい選手が1人でもいたら、開催中止。国民が我慢を重ねている以上、選手も我慢をしないと、世間の理解を得られないのではと、考える。このコラムが更新される時、果たして、どれだけ感染者が増えているのか?それとも減っているのか?いずれにしても競輪界の危機管理が強まっていることに期待したい。

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