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2021/02/03

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 77 Hunting

東京でも雪予報が出た1月末。結果的に都心は雪ではなく、冷たい雨が降る1日となりましたが、とても寒かったですね。しかし、仕事を終えて晩御飯の調達にスーパーへ向かうと、ふきのとうなど、春の山菜が並んでいるのを見かけました。初物ですね、厳しい寒さの中にも春の足音は確実に近づいてきています。緊急事態宣言下での生活も2週間が過ぎました。春になればコロナが終息するという訳ではありませんが、孤独な冬を過ごしている今、いつも以上に春が待ち遠しく感じます。

競輪界は1月半ばからザワついていました。新型コロナウィルスに感染した選手や関係者の数が多くなり、陽性者のみならず濃厚接触者にあたる選手の急な欠場。そして、非公式ながらに飛び交う情報、開催の是非。SNSも不安な気持ちを漏らす書き込みが選手や関係者、ファンから発信され、感覚的に「荒んでいるな」と、感じていました。
その中でも荒れた大地が一気に春めき、花が咲くように嬉しい話題が入ってきました。
先日の小倉F1ナイターにおいて町田太我(広島117期)選手がS級初優勝。対戦相手は昨年、先行で名を上げた大石剣士(静岡109期)が率いる東日本ライン。そして、昨年、惜しくもS級S班入りを逃した山田英明選手の九州ライン。
レースは町田選手が前受け。残り2周で大石選手が前を叩いて、それをさらに山田選手が叩いたところを町田選手がすかさずのジャンガマシ。山田選手は脚を多少、使ったとは言え、3番手につけます。山田選手はジワジワと、追い込んでいったのですが、町田選手を越えることができず、そのまま町田選手が逃げ切って1着。山田選手は2着、昨年の賞金ランキング10位の選手に勝利して、逃げ切りでの初優勝を決めました。

町田選手の優勝後、レース内容や初優勝という結果に対する興奮やお祝いの書き込みでタイムラインが埋まりました。その日は西武園ミッドの開催中止に伴い、町田選手のレースが1日の最後のレース。長いステイホームの夜を、町田選手について、あの決勝戦について、いつまでも話していたい気持ちでした。
私自身も書き込みましたし、たくさんの人が書き込んでいる町田選手に関わるタイムラインを見ていると、ルーキーの初優勝がこれだけ業界の空気を変えるものなのかという驚きと共に競輪やスポーツの素晴らしさはこういうところだろうなと、改めて感じました。過激な発言や問題提起ではなく、本業の走りで注目を集める。自身の全力の競走が自然にファンの話題をさらっていく。町田選手の走りは本当に格好良かったです。

さて、初優勝ということで、これも言わば『初物』。初物を食べると、寿命が延びるとも言われていますが、あの日、あのレースをリアルタイムで見ていた私はこれから先の町田選手のレースが楽しみで仕方がありません。間違いなく、競輪ファンとしての寿命は延びたことでしょう。新しい風を巻き起こす、これからの町田選手のレースに注目していきたいです!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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