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2021/02/09

Norikazu Iwai

場当たり的な対策しか講じていないままだと

場当たり的な対策しか講じていないままだと

こんなことばかり書きたくはないが、どうしてもコロナの話題になってしまう。本当に嫌な世の中、世知辛くなってしまったものだ。愚痴になってしまうけれども、いつ終わるか分からない状況ではストレスが溜まる。そう思うのは筆者だけではないだろう。緊急事態宣言が延長され、競輪も再び無観客での開催が多くなった。歓声が消えた競輪場からはTV中継でも選手の息遣いまで聞こえてくる。競輪場での観戦をストレス発散の場と考えるファンも日々、もどかしさを感じているであろう。
しかし、コロナ陽性者の数を考えると、この状況も致し方ないと思う。その反面、開催自体が開催できるということは喜ばなければならない。競輪場に足を運べなくてもネット投票は可能、最初は慣れなくても楽しみ方はあるものだ。

2月20日に初日を迎える川崎G1全日本選抜競輪。当初は人数制限をして、ファンを入れる予定だったが……和歌山競輪で発生したクラスター、当該競輪場が緊急事態宣言下にある神奈川県ということもあり、無観客での開催を決めた。正直なところ開催は難しいと思っていた。色々な分野で我慢を強いられている市民がいるのに、行政は公営競技に関しては不思議なくらい寛容だ。問題はコロナ感染者を出さずに開催を行えるかどうかだろう。和歌山でのクラスター発生以降、JKAが中心となり、前検日には全選手に検査(PCR検査、もしくは抗原検査)が義務づけられた。ただし、抗原検査の信頼度は一般的にPCR検査の90%とも言われている。PCR検査の陰性証明書を持参する決まりもあるらしいが、それがいつのものなのか?その辺の決まりは緩いとも聞いている。それよりも関係者に言いたいのは当日の抗原検査で陽性と、判定された場合の対処だ。
もちろん、当該選手は欠場になるのだが、問題はそこではない。その選手がどういった手段と経路で、現地まで来たのか、という点だ。例えば、九州の選手が関東や北海道に行く場合、多くは飛行機か新幹線だろう。中には自家用車で移動する選手もいるが、レースのことを考えた際、10時間以上の運転は身体に支障をきたす恐れもある。要するに前検日に陽性者が出た場合、競輪場に到着するまで(公共交通機関の利用で)に競輪とは関係のない人間に感染させてしまっているかも知れない可能性は否定できない。巷では若者が「自分たちは罹っても軽症だから」と、テレビインタビューで答えている場面を何度も見た。しかし、問題なのはその若者が老人や基礎疾患がある人、子供にまで感染させる危険性があること。自分の行動によって1人の人間が生命を落としてしまう可能性があることを考えていない。だから、こういった発言が飛び出してしまうのだ。

競輪界も同じだと言える。何度も指摘してきたが、最低でも2〜3日前(72時間以内が目安)のPCR検査結果で陰性。そして、前検日に抗原検査を実施すれば良いだけだろう。仮に前検日の抗原検査で引っ掛かった選手が移動中に他の人間に感染させ、その人間が死んだら、責任はどこにあるのか?選手にしてみれば関係団体からの対策はキッチリ守っている、そう言うだろう。場当たり的な対策しか講じていないままだと、関係団体の責任は重くなる。口先では格好の良いことを言ったとしても、自分たちの働く場所が確保できれば良い__そう思われても仕方のないことだ。選手もその辺をシッカリ考えたうえで声を上げていただきたいもの。
不安はまだある。知人の記者によれば和歌山クラスター発生以降、毎日のように選手の陽性発表されている。仮に全日本選抜に出場する有力選手が直前にコロナに罹患していたら、入院や自宅療養で練習などできない。そのような選手が参加して、良い結果を残せるのだろうか?関係団体は陽性者の人数発表だけで選手名は公表していない。ファンはコロナで休んでいたのか?普通の風邪なのか?あるいは疲労だったのか?そこまでは分からない。これで公正なレースと、言えるのか?風邪や疲労で休んでいた場合、練習をしようと思えばできる。しかし、コロナで入院だったら、隔離されるし、練習などは一切できない。ファンは何の情報も得られず、車券を買う羽目になるのだ。
以下、憶測の域を超えないが、コロナで練習ができなかった選手がコメントで「コロナで入院していました。練習はできませんでした」とは言わないであろう。記者などから尋ねられても「調子は悪くない」とか「普通です」と、答えるかも知れない。そうなった場合、ファン無視でしかない。人気になっても、実は練習できず……それで結果が伴わなかったら、ファンはお金をドブに捨てるに等しい。声高らかに公正なレースを謳うならば情報開示をシッカリ行う必要がある。それができなければ開催中止だ。それくらいのことをしなければならない状況にきているのが現実なのだ。

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