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2021/02/18

Norikazu Iwai

奈良記念雑感、そして、情報開示を!

奈良記念雑感、そして、情報開示を!

いよいよ始まるG1戦線、この20日から全日本選抜競輪(川崎)が開幕する。その前哨戦が各地で行われていたが、体調の良さならば平原康多(埼玉87期)と松浦悠士(広島98期)だろう。新田祐大(福島90期)、脇本雄太(福井94期)の2人は東京五輪を考慮しての欠場。残念ではあるが、致し方のないところか。
優勝候補は簡単に挙げることができるが、ダークホースとでも言うのか、狙って面白い選手をピックアップしてみたい。

真っ先に名前が出るのは先日の奈良記念で2度目の記念優勝を果たした山田久徳(京都93期)だ。決勝は稲毛健太(和歌山97期)の先行を利して、最後は番手捲り。後ろに村上博幸(京都86期)がいて、安心して走れたのであろう。

この山田、昔から良い意味で“ふてぶてしさ!があった。いや、堂々としていたと言う方が相応しい。何事にも物怖じしない性格はプロ向きだと、筆者は早い段階から思っていた。しかし、ある程度のレベルまではいきながらも、そこからが難しかった。実際にはまだ難しいのだろうが、それでも、以前とは明らかに違っているように見える。何が違うのか?勝手な所感でがあるが、決勝は村上のことが目に入っていなかった。恐らくではあるが、村上からは「お前が勝つ競走をしろ」と、言われていたのではないか。村上が3番手で絡まれても、山田は自分が勝つことに徹したと、映った。2回目の記念優勝ということだが、まだ2回目なのか!と、驚いてしまうのが本音だ。
何事にも動じないし、先輩や恩を受けた人間にはシッカリ返すことができる人間でもある。もっと記念で勝ってもおかしくない力がありながら、勝てなかったのはそういった部分の裏目なのかも知れない。

この山田が優勝した奈良記念決勝、稲毛のレース運びが気になった。この開催、稲毛は初日から2・2着で、準決勝は1着でクリアしている。失礼書き方になるが、珍しく安心してレースを見ていられた。3走しての状態を考えれば稲毛、山田、村上の争いだろうと。車券は山田を軸に2〜3着を稲毛、村上で勝負したが……結果論もあるが、稲毛の走りと考えは筆者には理解できなかった。主導権を握ったところまでは良い。だが、そこからが問題だ。3日間の動きを見て、ゴール前で好勝負を演じられると、思っていたファンは多かったはずだ。それが最終バックで一杯、一杯になり、終わってみれば9着。S級に上がったばかりの若手ならばいざ知らず、稲毛が引き出し役になってしまうとは。苦しみながらギリギリで勝ち上がったのならば話しは別だが、誰の目にも優勝の可能性はあったと、映ったはずだ。自らの勝ちも意識して走ればライン3人で表彰台を独占できたかも知れない。という訳で(車券で負けたからではなく)、筆者としては稲毛の走りは残念でならなかった。

競輪選手の中からの新型コロナウイルス陽性者は落ち着いてきたようだ。しかし、前回も書いたが、直前に新型コロナウイルスに感染していた選手が出ていたとしたら、その選手の成績が気になってしまう。しかも次は大勝負のG1レースである。競輪界は新型コロナウイルス感染者に対する差別意識があるから、情報をオープンに開示できないのだろう。差別意識は競輪界に限ったことではないかも知れないが、競輪はギャンブルである。ギャンブルである以上、主催者はお金を賭ける人間に対して、正確な情報を伝えるべきだし、その義務がある。それを隠して開催、開催後に実はそうであった選手が分かった場合、お金を賭けたファンは競輪から離れていく可能性だってある__。
競輪を愛するからこそ、敢えて何度も書く。競輪界は正確な情報を開示すべきだ。

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