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2021/04/08

Norikazu Iwai

G2ウィナーズカップを終えて

G2ウィナーズカップを終えて

若手の登竜門と言われ、独特な選抜方法のG2「ウイナーズカップ」が3月28日に幕を閉じた。4日間の売り上げは68億7,267万8,300円。目標としていた70億円には届かなかった。興味深いのは各メディアが、前年比168%増と記事にしていたことだ。思い起こしてもらいたい。昨年の福井開催はコロナ禍で25億6,160万5,100円。無観客開催で、ネット投票も伸びず、大苦戦した。この場合、昨年比と報じるのはおかしいだろう。168%増となると、ファンは凄い数字だと思ってしまう。だが、蓋を開ければ目標額を下回っている。純粋に届かなかったのだから、そこにこそスポットを当てるべきであろう。

その目標も低い。他の競技は決して低い目標額を設けていないと感じる。ましてやG2で70億円の目標額は、いかがなものだろうか? そして、またもや注目したい数字が「入場者数」だ。コロナウイルス感染拡大防止を考え、事前の抽選で選ばれた三重県在住の1,200人に限定された。しかしながら、スポーツ紙を見ると入場者数は数百人となっている。4日間共通券の影響が、顕著に表れている。そして、毎回書いているが、集まったファンは相変わらずゴール前に密集していた。注意する関係者はいなかったとも聞いた。東京五輪の聖火リレーが始まり、ある地域では組織委員会が密になっていたと反省コメントを発表した。口では密を避けるといっても、結局のところ黙認というのが現状だろう。

さて、レースについてだ。優勝したのは、松浦悠士の仕掛けに乗った清水裕友。逃げた高橋晋也の後ろを松浦があっさり確保した。高橋の番手はSS班の守澤太志であったが、一瞬の油断で高橋にもファンにも迷惑をかけた。これが仮に普通の選手なら文句は言うまい。しかし、守澤は選ばれた9人のSS班なのだ。そして、深谷知広と郡司浩平である。特に深谷だ。前を取って引いて8番手凡走。前3日間の走りが嘘のような走りだった。郡司にもG1連覇をしているのだから、早めに見切りをつけて貰いたかった。南関勢が人気を背負っていただけに後味が悪かった。

深谷と郡司、松浦と清水。いやというほど、この連係を最近は見る。ファンとしては食傷気味であるのも事実だろう。勝ち上がりの段階でメンバーを決める担当者には、もう少し考えてもらいたい。メンバーと言えば今回の準決勝も、最終12レースが激戦で、10レースは浅井康太、11レースは清水と松浦だった。番組の担当者は10レースをどう思っていたのだろうか。浅井に山口拳矢を付けたのだ。山口が逃げると思ったのか? はたまた準決勝なら簡単に捲れると思っていたのか? 結果は3番手の外で何と浅井と競る形になった。浅井もレースを見る限り、早めに切り替えていた。連係していた2人が並走する。だが、ガツガツ競るわけではない。見ている方は拍子抜けだった。結果、2人は決勝に勝ち上がることはなかった。筆者なら山口と寺崎浩平を入れ替えるか、浅井は自分で自由に戦わせた方が良かったと思っている。山口は今回の準決勝で評価を落とした。本人がそれをどう考えているかであろう。メディアが持ち上げすぎても、ダメだと考える。本当に競輪を愛しているのなら、持ち上げるだけでなく、時として厳しい意見も必要だ。

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