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2021/05/08

Norikazu Iwai

東京五輪に向けてのテスト大会

東京五輪に向けてのテスト大会

日本選手権競輪(通称ダービー)が、京王閣競輪場で開催されている。1都2府1県に緊急事態宣言が発出されているが、何とか開催にこぎ着いた(その後、緊急事態宣言地域は増える可能性も)。最後まで有観客開催を望んだが、このような状況では無観客でも開催できるだけ幸福だろう。プロ野球の日本ハムなどはチームで2桁の感染者が出て、数試合延期に追い込まれたのだから良しとしないといけない。
ダービーについては次の機会に書くとして、今回は五輪のことに触れたいと思う。

五輪本番まで約2カ月。各地、各競技でテスト大会と言われるものが開かれている。新型コロナウイルスの変異種が蔓延している中、賛否はある。自転車競技に関しては4月25日に、開催場所である伊豆ベロドロームでテスト大会「READY STEADY TOKYO」が行われた。ここには外国からの参加はなく、国内の選手のみだった。代表に内定(いまだに内定という言葉に違和感を覚えるが)している脇本雄太、新田祐大、小林優香も元気な姿を見せた。ケイリンでは新田が残り1周で先頭に立ち、そのままゴールまで押し切り貫禄を見せつけた。新田はスプリントでも脇本との準決勝を制し、決勝では深谷知広を下して優勝と、順調な仕上がりをアピールした。脇本もケイリン5位、スプリント3位の結果を残した。本番でのメダルが有望視される2人に、現時点では言うことがない程の調整だと思っている。小林も好タイムを記録するなど、期待は膨らむばかりだ。


ただ、こうしたテスト大会は本来であるなら、参加選手を招いて行われるべきものである。現に、5月5日にはマラソン、競歩の開催地になっている北海道札幌市でマラソンのテスト大会が開かれた。ここには外国人6名が参加。正直なところ、国外からよく来たものだと感じた。テレビやネットのニュースでは否定的な意見が多かったように記憶している。無観客といいながら、沿道には多くの人間が「密」ともいえる状態で観戦していた。
確かに、本番前にテストをすることは、大切だし重要だと思っている。ただ、参加を見合わせた選手の気持ちを考えると、果たしてこれで良かったのかとも思える。公平さに欠けると言われても致し方ないのではないか。もちろん、選手本人や国の決定に従ってのことであろうが、先にも書いた違和感は拭えない。緊急事態宣言だと言われても、ゴールデンウィークの人出を見れば、もはや緊急事態宣言に効力があるのかと疑ってしまう。その中でのテスト大会__。関係者やアスリートの気持ちは十分に理解しているつもりだが、今後の感染増に繋がらないかが心配になる。
4年間、いや5年間、五輪を目標にしてきた脇本、新田、小林の気持ちを考えれば、五輪は予定通り行われてほしい。そのためにやることは、口先だけの感染予防ではなく、毎日検査を実施する等の対策が必要だろう。変異種がどのようなルートで入り、どこで感染したのか、はっきりしない。まず優先されるのは、命だ。ダービーをはじめ競輪も無観客と言いながら、急に足を運ぶ関係者がいると聞いた。ここまで来たら、徹底した感染対策とは一体何を持って言うのだろうか? コロナが収束し、通常に戻って欲しいと思うからこそ、今一度、徹底した対策を国民に提示してもらいたい。

(※写真はイメージです)

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