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2022/08/27

岩井範一

復調・成田和也の存在感

復調・成田和也の存在感

オールスター競輪での圧勝劇が記憶に残っている中、24日に終わった立川競輪F1でも、脇本雄太は余裕の3連勝で、S級連勝記録を20に伸ばした。もはや敵なしといったところだが、決勝2着の成田和也について今回は書いてみたいと思う。

2011年にSSシリーズ風光る、そして2012年の日本選手権競輪(熊本)でタイトルを獲り、KEIRINグランプリ2012では優勝した村上義弘とデッドヒートを演じて、タイヤ差の2着。ゴール直後は右手を挙げる仕草を見せたほどの激戦だった。翌年には岸和田で行われた高松宮記念杯競輪も優勝してG1は3勝。G2は2010年のサマーナイトフェスティバル(函館)を制している。
しかし、その後は度重なる落車の影響で影を潜めていた。それが、昨年の夏くらいから徐々に復調してきた。今年は2月の全日本選抜競輪(取手)で決勝7着。3月ウイナーズカップ(宇都宮)は決勝5着。5月の日本選手権競輪(いわき平)こそ決勝進出を逃したが、6月の高松宮記念杯競輪(岸和田)は決勝6着。そして、先日のオールスター競輪(西武園)は決勝8着と、今年ここまでのG1の4大会の内、3回ファイナリストに名を連ねている。

普段は穏やかだという成田だが、競走になれば、打って変わって激しい走りを見せる。立川F1の決勝は、最初から脇本の後ろで芦澤大輔と競り。競り勝ったが、脇本からは離れてしまった。しかし、ここからが今の成田の出来が物語っている。自力選手のように追いかけて、2着を確保。最低限の期待には応えられたはずである。知人の記者によれば「インタビューをしても、おちゃらけることなく、真摯に向き合ってくれる。物静かだが、記者にとってはいい印象しかない」とのこと。確かに勝利者インタビューを見ていても、真面目だということが分かる。そういうタイプだからこそ、記者にも人気があるのだろう。

成田和也

立川F1が終了時点で、賞金ランキングは9位。前回も書いたが、久しぶりにKEIRINグランプリ出場を狙える位置につけている。今年のG1は、まだ10月に寛仁親王牌(前橋)、11月に競輪祭(小倉)が残っているが、十分チャンスがあるポジションだろう。追い込みゆえに、前任せの展開は避けられないが、それでも今の成田の状態を見れば、全盛時に限りなく近いと思える。一瞬の切れは健在だ。何より今年は安定感がある。以前、成田が後ろなら、先行選手は喜んで逃げると聞いたことがある。それだけラインを大切にできる選手とも言えるのだろう。

最後に。立川F1開催だが、初日のS級戦は第6レースから第9レースまでが5車立て、第10レースと第11レースが6車立て、第12レースのみ7車立てという形で行われた。元々は7車立てでの開催ではあったが、初日からこれではファンとしては盛り上がらない。2日目からはレースカットで、12レースから10レースになった。世の中がこういう状態だからこそ、無理は言うことはできないが、欠場が決まった時点で、対策できないものかと思ってしまう。あくまでもファン目線での話しではあるが……。それと検査なども各競輪場で対応はまちまちと聞く。JKAを中心として、ただ注意喚起を促すだけではなく、全国共通のルール作りを徹底してほしいと願う。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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