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2022/12/26

木三原さくら

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

木三原さくら「恋して競輪ハンター」124 Hunting

今まで、競輪のいろいろな所に感動してきました。
選手の背負うドラマ、ラインのドラマ、走り、強さ、レース__。
もともと、度を越して涙もろい人間なので、多くの人が、私が様々な場面で涙を流しているのを見たことがあるでしょう。すぐに感情が高まってしまう自覚はありましたが、つい先日、いよいよオッズ画面を見て涙が出そうになりました。

先日の広島競輪開設70周年記念ひろしまピースカップでのこと。広島が2月の本場開催を最後に、いよいよ改修工事に入るために、今のバンクでの記念はラスト。選手はもちろん、かかわってきたそれぞれの人に、いろいろな思いがあったと思います。
優勝したのは地元の松浦悠士選手。大会連覇でした。ただ、初日特選は着外の6着。めったに取ることのない着に、状態が心配されました。2日目は自力で捲って1着。しかし、その捲りも好調とは見えず、また勝利者インタビューでも、笑顔はありませんでした。3日目の準決勝戦は徳島の犬伏湧也選手をマーク。犬伏選手の仕掛けに、一瞬、口が空く瞬間もありました。追いつき、最後はとらえて1着となりましたが、
「やっぱり調子、わるそうだよね」
そう、共演のみんなとも話しました。

競輪祭が終わって久しぶりのレース、グランプリ前の調整期間、地元でのプレッシャー、さらに、広島では珍しい寒さもありました。グランプリの前に、もう一つ負けられない戦いがあるというのは酷だなと、改めて思いました。
しかも、準決勝を一緒に勝ち上がった犬伏選手が、決勝戦では別線。松浦選手は自力でのレースとなりました。相手にはスピードが違う捲りを見せていた坂井洋選手や寺崎浩平選手。単騎で原田研太朗選手も。絶好調ではない状態で、このメンバーの中、どう勝つ?
節目の70周年、今のバンクでのラスト記念、松浦選手の優勝が見たい! だけど……。心配の気持ちがグルグルと胸の中に渦巻いていました。
最終日の11Rが終わって、CS放送が12Rの話に進み、司会の赤澤佳美さんが、2車単のオッズを読み上げました。その時に唯一、10倍を切って1番人気になっていたのは1-2。松浦選手1着のところでした。
それを見ただけで、一気に感情がこみあげてきました。本調子ではなくても、前を回る選手がいなくても、それでも売れる地元のS級S班。この1番人気に、たくさんの競輪ファンの想いが詰まっている。そう感じました。70周年を迎えた広島競輪の、改修前ラストの記念に賭ける想いは、選手や関係者だけでなく、私たち競輪ファンの中にもあります。その想いが松浦選手の1番人気となって、表れているのだと想像すると、涙が溢れそうでした。

レースの結果は、みなさんご存じの通り、松浦選手のそつのない位置取り、そして冷静な展開読みから、追い込んで優勝。まさに大団円の締めくくり。優勝インタビューでは、松浦選手の笑顔もたくさん見ることができました。
2022年もたくさんのドラマがあった競輪界。今年もたくさん心が躍り、熱くなりました。
年末の大一番は目前! 締めくくりにはどんなドラマが待っているのでしょうか。最後まで楽しみ、戦い抜きましょう!

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
123Hunting「清水裕友が好きだ!」
122Hunting「ヤケクソかヒラメキか」
121Hunting「記憶にとらわれ過ぎない競輪予想を」
120Hunting「新人選手を追いかける楽しみ」
119Hunting「それでもリングに立ち続ける」
118Hunting「三つ巴の徹底先行が生んだドラマ」
117Hunting「競輪人生10年目!」
116Hunting「ベテラン郡英治選手の走り」
115Hunting「2時間悩んだオールスター決勝」
114Hunting「あとの祭~サマナイを振り返って」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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