TOP > コラム > 欠場に思うこと

コラム

一覧へ戻る

コラム

2023/02/16

岩井範一

欠場に思うこと

欠場に思うこと

奈良競輪開設72周年記念・春日賞争覇戦(G3)は2月5日に終わり、地元の三谷竜生が優勝した。2018年のグランプリチャンピオンである三谷だが、ここ数年は低迷していただけに、これをきっかけにして、またG1戦線でも活躍してもらいたいものだ。

この開催には、脇本雄太も参加していた。初日特選は古性優作に差されて2着だったが、何と2日目以降を欠場したのだ。急性腰痛症ということだが、近畿地区の大会を途中欠場するということは、相当に腰の状態が酷かったのだろう。奈良記念の直前の豊橋記念は、見事な走りで優勝を決めていた。そこから中2日での参加は、脇本であっても、体の負担は大きかったのであろう。報道によると、すでに豊橋記念の途中から、状態は悪かったとのこと。本来なら、奈良を欠場してもおかしくないところだが、地元地区の記念である以上、無理をおして出場したのだろう。

ただ、今回のあっせん自体に、元々、無理があったのではないだろうか? もちろん、脇本のような人気選手は、どこの施行者も走って欲しい。脇本が出場することで、売り上げが億単位で違うと言われているのだから、当然のことだろう。それなら、あっせんをするJKAが、もう少し考えるべきであろう。例え本人が走りますと言っても、今回のようなケースが出てきてしまう。選手生命を脅かす事態になる可能性もあるだろう。

果たして、何を基準にあっせんをしているのだろうと、素朴な疑問が浮かんだ。まずは、選手の体調管理を把握すべきであろう。例えば、地元地区など大きな開催を走るなら、逆にその直前の開催には入れなくてもいいのではないか。
以前にも、自転車競技の世界選手権に出場した選手が、帰国した翌日にG1の前検日に参加したことが何度もあったと、聞いたことがある。これこそ選手を商品としか見ていない証ではないだろうか。目先の利益を追求するがゆえに、壊れてしまう選手も出てくるのではないかと考える。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

***************
【岩井範一の過去コラムはこちら】
表彰選手の発表を受けて
奥平充男の引退
グランプリを振り返って
グランプリまであとわずか
スーパールーキーとは
グランプリは東北勢が4名
新規ファンを獲得するために
高木真備さんの名輪会入り
新田祐大のグランドスラム
寛仁親王牌の注目選手

※掲載写真はイメージです。

ページの先頭へ

メニューを開く