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2017/11/17

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=1 Hunting

早いもので11月も半分が過ぎ、2017年もあと1ヶ月半を切りました。この時期に競輪ファンが気になるのは、年末の競輪グランプリ出場を懸けた賞金争いではないでしょうか。年内最後のG1競輪祭を目前に控え、ラストチャンスに懸ける選手たちの想い、ファンの想いを想像すると、胸が熱くなります。競輪祭、そして年末に平塚競輪場で行われるグランプリのニコ生放送に出演予定なので、本場の空気や熱量を伝えられるように、私も今一度、気持ちを引き締めているところです。
その一方で、緩むのは財布のヒモ。日に日に寒くなる中、冬支度をするための買い物をしたり、チラホラと忘年会なんて言葉も聞くようになりました。お金が出るばかりでは困るので、なんとか入ってくる方も増やしたいところ。今年のチャリチャンでの投票収支を計算したところ、あと10万円ほど当てたいなという気持ちになりました。1ヶ月半で10万円、展開第一の保守的人間にはなかなかの金額です。そこで思い出すのが、10万円の夢を見させてくれたあの選手のこと___。

出会いは先月10月19日の広島競輪場。狙えるところはないかと“競輪場ザッピング”していたところ、1人の選手が他地区の3番手から2センターで内をすくい追い込む姿を目撃しました。(レース前のコメントが「3番手から」だったのか「3番手」だったのかは分かりません。)
「こ、怖い……」これが最初の印象で、プロフィールをチェックした後に吉良勝信(福岡75期)という選手名を頭の隅に「怖い選手」として刻み込みました。
翌週、松戸でチャリチャンの放送があり、出走表を見ると初日特選に“吉良勝信”の名前を発見。しかもどうやら並びは前週の広島と同様、他地区の3番手のようです。前を駆けるのは先行もあり得て人気になりそうな志佐明(神奈川107期)選手。
「これは狙えるかも!」と、一気に射幸心に火が点きました。「怖い選手が「おいしそうな選手」に変わった瞬間です。
展開は志佐選手と高橋幸司(山形99期)選手のもがき合い。志佐選手が出切り、最後に捲ってきた小林申太(茨城101期)選手を、志佐選手の番手であった中井達郎(静岡74期)選手が止めていました。外に振る中井選手もしんどくなってきた様子で、この時、私は内心でシメシメ(ゲスい人間でごめんなさい)でした。そこで少し前と離れたところを内側から吉良選手が追込み!なんと1着まで伸びていきました……そう1着、私は吉良選手を2着で買っていたために獲れませんでした。払い戻しは2車単でも万車券、3連単は10万円を超える配当となりました。


《赤3番車・吉良勝信選手》

結局、3日間で吉良選手は1着、3着、3着でしたが、私が獲れたのは最終日決勝の吉良選手のワイドのみ。『恋して競輪ハンター』なのに全く大物を狩れませんでした。偶然の出会いから運命的な再会。そして、高配当とドラマチックな展開をモノにすることができず、今となっても思い出すと少し悔しいです。

ちなみに今回、吉良選手のことを記事にするのを少し迷いました。なぜなら『松茸の生える場所は子にも教えない』なんて言い回しを聞いたことがありますけれども、おいしいものを独り占めしたいというのが人間の性(さが)。私が松戸で「見つけた!」と、思ったのと同じように「俺だけが(私だけが)吉良勝信を知っている」という競輪ファンが絶対にいるはずだからです。

ただ、おいしいのは吉良選手だけではありませんし、おいしさの種類もそれぞれ違います。追込み鋭い選手、逃げたら意外とアッサリ逃げ切っちゃう選手、仕事しすぎて差せない選手……そんな選手を誰よりも早く見つけるのも競輪の楽しみの一つではないでしょうか。
みなさんには“自分だけが知るおいしい選手”がいらっしゃいますか?どんなおいしさですか?ちょっと味見させて下さい。

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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