TOP > 自転車競技 > JCL2021最終戦!那須塩原クリテリウム

自転車競技

一覧へ戻る

自転車競技

2021/11/24

P-Navi編集部

JCL2021最終戦!那須塩原クリテリウム

JCL2021最終戦!那須塩原クリテリウム

国内サイクルロードレースのプロリーグ「三菱地所 JCL プロロードレースツアー」の最終戦「那須塩原クリテリウム」が11月7日、那須塩原駅西口駅前通り特設コースで開催された。東北新幹線も停まるJR那須塩原駅前の大通りを大胆に交通封鎖して行われるレースだ。このコースを使用するレースとしては、2年ぶりの開催。新型コロナウイルスの感染が落ち着き、観戦が許可された高揚感もあり、この時を待ちわびてきた多くのサポーターたちが会場に駆けつけた。


減速と加速を強いられる三箇所のUターンカーブが、選手たちの体力を削っていく

コースは、カタカナの「ト」の字形に作られた1.8kmの周回路を使用する。スタートゴールも設定された駅に向かうストレートは、スピードに乗せて走る区間となり、駅前でUターンした後は、短いストレートから、再び長いストレートに入るまで、コーナー、Uターン、コーナー、Uターンとコーナリングを繰り返すテクニカル区間となる。このテクニカル区間通過時には避けられないスピードのアップダウンの影響が集団の後方では、特に大きくなり、疲弊しやすい。ペースが上がってくるほどに、この影響は大きくなり、消耗されていく。脱落する選手が続き、人数が絞り込まれて、厳しい展開のレースになることが通例なのだという。


リーダージャージの選手たちを先頭にスタートラインに並ぶ選手たち

スタートラインには、前戦で今年度の個人総合優勝を確定させた山本大喜(キナンサイクリングチーム)が、その証であるイエロージャージを着て先頭に立った。隣には同じく山岳賞を確定させた実兄の山本元喜がレッドジャージ(キナンサイクリングチーム)姿で立つ。このレースで決定するスプリント賞のブルージャージは、地元宇都宮の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が、U23首位のホワイトジャージを宇賀 隆貴(チーム右京 相模原)が着用し、同じくスタートの最前列に並んだ。
那須塩原市の渡辺美知太郎市長がスターターを務め、最終戦がスタートした。この日は、特設コースを25周する45kmの設定だ。

序盤から、さまざまな選手がアタックを仕掛け、集団からの抜け出しを狙ってきた。だが、次々と選手が飛び出しては、すぐにハイペースの集団に捕らえられる、というめまぐるしい展開が続いた。集団内の動きは非常に活発ながら、そこから抜け出しを決められる選手が現れず、大集団のままでの展開が続く。


声を出さずに応援する観客たちに見守られ、大集団が走りすぎる


応援の代わりに、フラッグや横断幕を掲げるサポーターたち

地元である那須ブラーゼンにとっては、負けられない戦いだ。集団前方に位置し、積極的な動きを見せ、チームのフラッグを掲げるサポーターたちを沸かせていた。


前方で積極的に仕掛ける那須ブラーゼンの選手たち

このレースには、スプリントポイントが設定されており、最初のスプリント賞は黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)が獲得した。これを機に集団に変化が起きるかと思われたが、集団は崩れず、大集団のままレースが進んでいく。
近隣から足を運んだ地元住民の方々も多く、大きな集団が高速で大通りを走り抜ける迫力ある光景に、みな笑顔で拍手をし、観戦を楽しんでいた。


地域のまさに老若男女がコース沿道に並び観戦した。自宅前でレースが展開されるとは、貴重な経験だったろう


前半は集団のまま推移した

折り返しを越え、後半に差し掛かった頃、集団の中で変化が生まれた。二人のリーダージャージを抱えるキナンサイクリングチームのメンバーが全員前方に上がってきたのだ。前方に隊列を組み、チームは集団のコントロールを始めた。


前方に集結し、集団を牽引、レースのコントロールを始めたキナンサイクリングチーム。後ろにはチームごとにまとまって走る選手たちが続く

実力者が前を固め、ハイペースで集団を牽引すると、集団から飛び出す選手は皆無となったが、逆に堪えられなくなった後方の選手たちが、ボロボロと脱落していった。
キナンサイクリングチームは、スプリント力のある中島康晴(キナンサイクリングチーム)で勝負する作戦。中島以外の5名はアシストに回り、リーダージャージを着る2名もこの動きに加わり、全力で集団を牽引した。この牽引の中で、2回目のスプリント賞は山本大喜が先頭で通過して獲得している。


リーダージャージを着る山本兄弟もアシスト役に回り、集団の牽引を担った


ストレート区間を牽くことが多かった山本大喜(キナンサイクリングチーム)。スプリントポイントを先頭通過し、2回のスプリント賞を獲得した

集団内はキナンの白いジャージを先頭に、主力チームがチームごとに固まり、チーム内で協議しながら最終局面に備え始めていた。キナンの6名のすぐ後ろには、スプリンターたちで構成されているスパークルおおいたサイクリングチームのメンバーが、がっちりと固める。脚力を使わずして好位置に構え、最後のゴール勝負に備えられる。おおいたにとっては非常に好ましい展開だ。その後ろには、黒いジャージのチーム右京相模原のメンバーが位置した。実力のあるチームながら、今季、勝利を上げられておらず、悲願の一勝に向けて走る。後ろには声援を受けて走る地元宇都宮ブリッツェンの赤いジャージが並んだ。

位置取りは、最前列は大きく消耗されるものの、当然前方に位置した方がゴール勝負には有利である。それも、もちろん実力があってのもの。チーム力が及ばないチームは、スピードの上げ下げで消耗され、ゴールも狙いにくい不利な後方に追いやられ、苦しい展開を強いられることになる。

12

ページの先頭へ

メニューを開く