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2022/04/02

P-Navi編集部

富士クリテリウムチャンピオンシップ

富士クリテリウムチャンピオンシップ

大勢の観衆に見守られる中、レースがスタートし、地元チームの佐野淳哉(レバンテフジ静岡)がファーストアタックを仕掛け、元全日本チャンピオンの名に恥じない鮮烈な飛び出しを決めてみせた。


ファーストアタックを決めた佐野淳哉(レバンテ富士静岡)

佐野は吸収されたが、選手たちが入れ替わり立ち替わり飛び出しを仕掛けては、集団に吸収されていく迫力のある展開が続く。


なかなか決定的な動きが生まれず、レースは長い間集団で推移した


幾重にもなった観客の前を走る集団(画像提供:静岡県)

折り返しを越えた頃、競輪選手でもあり、東京五輪にはトラックレースで出場した橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)、昨年度まで全日本チャンピオンジャージを着ていた入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、高梨万里王(レバンテフジ静岡)の3名の飛び出しが決まり、先頭集団を作った。ほどなく、先頭3名にレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)が合流、高梨が遅れてしまい、新たな顔ぶれの3名の集団となる。
メイン集団から抜け出した、宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)、中井唯晶(シマノレーシング)、佐藤健(日本大学)、佐野淳哉らが先頭3名に合流し、先頭集団は11名まで増えていく。だが、メイン集団とのタイム差は思うように広がらない。メイン集団がじわじわとペースアップし、その差を縮めにかかり、先頭を吸収した。


メイン集団の先頭に立つ岡本隼(愛三工業レーシングチーム)後ろには、積極的に動き続けた橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が続く

ラスト3周。再度、橋本がするすると飛び出し、先頭を独走する。観客の拍手を受け、笑顔を見せる余裕すらみせる。橋下を追うメイン集団の前方には、スプリンターたちがじわじわと集まり、スプリント勝負に備え始めた。
最終周回を目前にして、東京五輪にロードで出場した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)や競輪選手でもある窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)らが、ついに橋本に追いついた。新城雄大(キナンレーシングチーム)らと小集団を作り、最終周回へ突入。先頭集団は吸収され、レースは集団に戻った。ゴールを狙う各チームが駆け引きを交わしあい、激しくうねる集団がゴールに向かう。
ここでU23の全日本ロードだけでなく、トラック競技オムニアムの全日本も制したスピードのある兒島直樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が単独で飛び出し、緊張が走った。メイン集団は、全日本チャンピオンジャージを着る草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が先頭に立ち、全力で引き上げる。草場の後ろには、優勝を狙うチームメイトの岡本隼、中川拳(ともに愛三工業レーシングチーム)がピタリと付いている。集団は兒島を飲み込み、一気に加速。ゴール前に差し掛かり、草場の牽引を受けた岡本が全力で飛び出した。スプリンターたちが一斉に仕掛けるが、岡本は誰も寄せ付けないスピードを保ち、力強いロングスプリントを最後まで踏み切って、ガッツポーズでフィニッシュ。「絶対に勝利を譲らない」という気迫があふれ出すような強烈なスプリントだった。
富士クリテリウムチャンピオンシップの最初の勝者となった岡本は、割れるような拍手の中、嬉しそうに、何度も何度もガッツポーズを繰り返した。


力強いロングスプリントで勝利をもぎ取った岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

2位には、追い上げたが、辛くも及ばなかった窪木が入り、中川が3位に入った。


表彰台に登った岡本、窪木、中川。弾けるような笑顔を見せた


表彰式まで多くの観衆が残り、惜しみない拍手を送った

岡本は表彰台で「これだけ広い道で、街の中で、走れるのは、最高に気持ちよく、初代チャンピオンになれたという価値を感じる」と喜びを語った。これまで無観客レースが続いたこともあり「声援が力になって、気持ちが高まった」と感慨深い様子を見せた。「チームとしては、危ない展開だったが、最後のスプリントに向けて脚(力)をためて、そこを信じ切れた」と勝因を振り返った。
この日、会場には「初めてレースというものを見にきた」と語る地元の方々の姿が多かった。会場の実況解説もつき、ネット上では生中継も行われ、会場のどこにいてもスマホで解説を聴きながらレースを見ることができた。表彰式まで残り、選手たちに拍手を送った観客も多く、感想を聞くと「面白くて、迫力があって、感動した」と、興奮した様子で語る方も。

今回が第1回目の開催ではあったが、観客はマナーよく、感染防止プロトコルにも従い、大きなトラブルもなく、大成功だったと言えるだろう。来年以降も大会は継続を目指しているそうだ。ロードレースの開催も今後の目標としているという。会場を取り巻く雰囲気も非常によく、選手たちのモチベーションも非常に高く、来年以降、重要な大会へと成長していくのではないだろうか。
富士市は、この日も健闘したレバンテフジ静岡が本拠地を構える都市だ。昨年、チームの事務所の1階に富士市サイクルステーションがオープンし、ロードバイクやe-bikeの貸し出しを行っている。これから富士市は、自転車のまちとして大きく進化していくかもしれない。

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【結果】富士クリテリウムチャンピオンシップ決勝戦
1位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)1時間16分35秒
2位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)+1秒
3位/中川拳(愛三工業レーシングチーム)
4位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
5位/今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)

画像提供:富士山サイクルロードレース実行委員会、静岡県、編集部

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