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2022/05/08

P-Navi編集部

JCL第2戦・カンセキ宇都宮清原クリテリウム

JCL第2戦・カンセキ宇都宮清原クリテリウム

一般社団法人ジャパンサイクルリーグ(以下、JCL)主催の自転車ロードレースリーグ「三菱地所 JCL プロロードレースツアー 2022」の第2戦となる「カンセキ宇都宮清原クリテリウム」が4月17日、宇都宮市清原工業団地周辺特設コースで開催された。

他の枠組み中で開催が始まった(昨年JCLの誕生で、JCLツアー内での開催に変わった)このレースは、今年で8回目を数える。レース名になっている「クリテリウム」とは、都市型の小周回の周回コースで開催される短距離レースのことで、このレースは1周2.2kmのコースを23周する50.6kmの設定で競われる。
コースは宇都宮市の清原工業団地内の道路を使用し、T型に作られたもの。3カ所の端部分にはヘアピンカーブが登場し、選手たちはここで減速と再加速を強いられることになる。必然的に集団は長く伸びやすく、後方に位置するほどスピードのアップダウンが大きくなるため、消耗も激しい。また、前年の開催では強豪選手をも含む選手たちの集団落車(転倒)も発生している。前方に位置した方があらゆる意味で安全であり、集団内の位置取りも重要な要素の一つとなる。

近年の開催では、地元宇都宮の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が驚異の4連覇を遂げており、前日のレースで優勝し、個人総合首位となった小野寺は、その証であるイエローのリーダージャージでスタートラインの最前列に並んだ。


スタートラインに並ぶ選手たち。前列には各部門の首位の選手がリーダージャージで並ぶ

小野寺はポイント賞首位のブルーのリーダージャージも獲得していたが、繰り上がりで増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が着用。ヤングライダー首位のホワイトのリーダージャージは渡邊諒馬 (VC福岡)が着用し、それぞれ最前列に立った。地元栃木の宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンが3名のリーダーの後ろを固めた。この日も有観客で開催され、来場した多くのファンの拍手に包まれて、選手たちがスタートした。


リアルスタート、レーススタート。チームそれぞれの思惑に従い、選手たちが動き始めた


観客と集団 昨年は無観客開催だったが、今年はコース脇を観客が埋め、拍手やベルで選手たちにエールを送った

レースが開始すると、集団からの抜け出しを狙うアタックがかけられ、選手たちが飛び出していくが、どの動きも集団が容認せず、選手たちはほどなく吸収されていく。ポイント賞が設定された周回では、ポイント獲得を狙った飛び出しが生まれる。選手らが集団に捕らえられるタイミングのスキを狙ってTeam UKYO SAGAMIHARAのメンバーら中心に飛び出しを図るが、決定的な動きを起こすことはできなかった。


次々アタックが仕掛けられるが、なかなか決定的な動きが作れない

この態勢に変化が生じたのは、折り返しも越えた13周目。前日も序盤から逃げ、終始、積極的な動きを見せた小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)がこの日も飛び出しを決め、ここにベテラン向川尚樹(VC福岡)が加わり、2名の逃げ集団が形成されたのだ。


先行し、逃げ続ける小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)、向川尚樹(VC福岡)

このまま、15周回目のポイント賞も2名が先頭通過し、差を15秒に広げた。スプリンターを擁し、勝ちを狙うチームがいる以上、他のチームは抜け出しをかけ、先行するしか勝機がない。この2名に選手を送り込みたいビクトワール広島が動き始めると、これをトリガーに一気に集団が活性化した。
向川がこぼれ、その後も粘った小石を集団がラスト2周で吸収、スプリント勝負に向けた熾烈な位置取り合戦が本格化した。


連覇を狙う宇都宮ブリッツェン、勝利が欲しいキナンレーシングチームが前を固めるメイン集団

小野寺の連覇を狙う地元宇都宮ブリッツェン、スプリンターチームであるスパークルおおいたレーシングチーム、さらには昨年の優勝チームであるキナンレーシングチームらが集団の前方を固め、競り合う。


孫崎から放たれた沢田が渾身のスプリントを見せた

ラスト1km、宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチームがそれぞれ隊列を組み最終コーナーに入ると、大本命のスプリンター沢田桂太郎を連れた孫崎大樹(ともにスパークルおおいたレーシングチーム)がコーナーの内側から滑り込み、先頭に躍り出た。全力で引く孫崎のリードアウトから放たれた沢田は、誰も寄せ付けないスピードで加速し、ガッツポーズでフィニッシュラインを越えた。


誰も寄せつけぬままフィニッシュラインを越えた沢田。長身の体が、一際大きく見えた

沢田は186cmの長身から繰り出すダイナミックなスプリントに強みを持っており、昨年もJCLで2勝を飾っている。トラックレースでも全日本選手権で優勝の経験を持つスピードマンだ。だが、昨年はこのレースでも優勝候補とされながら、落車に巻き込まれ、勝負に絡めなかった。今年はチームメイトの万全のアシストを得ながら、悲願の優勝を果たしたのだった。
アシストをした孫崎自身も3位に入り、スパークルおおいたレーシングチームは1-3位を獲得した。イエロージャージを着て連覇を狙った小野寺は、終盤の落車も響き5位となり、表彰台は逃したものの、イエロージャージは守り抜いた。2位には畑中勇介(キナンレーシングチーム)が入り、このレースでは2年連続で2位となると同時に、2日連続で表彰台に上がる成績をおさめ、ポイントを獲得し、個人総合ランキングで2位にジャンプアップした。


表彰台の3名によるシャンパンファイト

レース後、沢田は「『勝てる』と言われていたコースだったので、勝てて嬉しい」と喜びを語った。「最初から完璧に近いレース運びだった」とレースを振り返った。終盤はチーム全体で、前方にいようと心がけたという。最後のゴール前の動きも孫崎が作戦通りに、沢田を連れて前に出てくれて「あとは全開で自分が行くだけだった」とチームメイトへの感謝を語った。チームとしては、今季5勝を目指しており、気を抜かずにしっかり頑張りたいとの抱負で表彰を締めくくった。


イエロージャージを守った小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)。年間首位を守った選手にはパネルのスイス高級機械式腕時計ブランドCVSTOSのイエロー(330万円/税抜き)が名前入りで贈られる

JCLツアーの次戦は、ツール・ド・熊野だ。UCI(世界自転車競技連合)公認の国際レースであり、ツアー加盟外のチームも多数参戦する。JCLツアーには上位ポイントが組み込まれる形で、成績が反映される。今年はまだコロナ禍にあり、海外籍のチームは1チームのみだが、通常のJCLレースとは異なる展開が望めるだろう。世界遺産に登録される熊野古道を駆け抜けるレースであることも注目ポイントになる。2019年の大会以来3年ぶりの開催になる次戦にも期待したい。

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【結果】三菱地所JCLプロロードレースツアー2022
カンセキ宇都宮清原クリテリウム

1位/沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)1:10’19”
2位/畑中勇介(キナンレーシングチーム)st
3位/孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)st
4位/黒枝士揮(スパークルおおいたレーシングチーム)+0’01”
5位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)+0’01”

【JCL各賞リーダージャージ表彰】
イエロージャージ(個人ランキングトップ) 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン)
ブルージャージ(スプリント賞) 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン)
ホワイトジャージ(新人賞)渡邊諒馬 (VC福岡)

【地元特別賞】
ベストアシストライダー賞/孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)
ベストホープフルライダー賞/本多晴飛(Team UKYO SAGAMIHARA)
ベストアグレッシブライダー/小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)
栃木県民賞/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

画像提供:三菱地所 JCL プロロードレースツアー

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【三菱地所JCLプロロードレースツアー・レポート】
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