TOP > 自転車競技 > ツアー・オブ・ジャパン2022第3ステージ

自転車競技

一覧へ戻る

自転車競技

2022/06/02

P-Navi編集部

ツアー・オブ・ジャパン2022第3ステージ

ツアー・オブ・ジャパン2022第3ステージ

ステージレース「三菱地所 presentsツアー・オブ・ジャパン(以降、TOJ)2022」は5月21日、神奈川県相模原市で第3ステージを開催した。昨年度初開催となった相模原ステージは、東京五輪の自転車ロードレースで使用されたエリアを一部含む特設コースを使用する。

TOJ2022レポートはこちら
第1ステージ第2ステージ

スタートはJR橋本駅近くの橋本公園に設けられた。橋本公園から、パレード走行が行われ、4.6kmのニュートラル区間を経て、景勝地、旧小倉橋を渡った所でアクチュアルスタートを迎える。串川橋から宮ヶ瀬湖畔を回る、1周13.8kmのコースに入り、7周回する107.7kmの設定だ。土曜日の開催ということで、橋本公園からフィニッシュ地点や、周回コース上のJA串川支店行きの観戦者用のシャトルバスも2路線用意されたが、予約開始後、両路線ともに早々に満席となり、注目度の高さを伺わせていた。


駅前の公園からパレード走行をし、宮ヶ瀬湖畔を回る周回コース


アップダウンが含まれる周回コースを7周する

昨年に引き続きの開催ではあるが、今年は昨年と逆回りの設定で開催され、上りゴールに設定されている。今にも泣き出しそうな曇り空の下、選手はスタートラインに並んだ。気温は低く、20度には届きそうもない。個人総合成績首位の証、グリーンジャージは、ネイサン・アール(チーム右京)が着用。山岳賞首位のレッドジャージは、ベンジャミン・ダイボール(チーム右京)、U23首位のホワイトジャージは宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)が守っている。ポイント賞トップのブルージャージは、繰り上がりで増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が着用して走ることに。

8時50分、本村賢太郎相模原市長らも参加し、橋本公園からパレード走行がスタートした。


市長も参加したパレード走行


相模原市内を走るニュートラル区間。先頭には相模原に拠点を置くチーム右京のメンバーが並んだ

4.6kmのニュートラル区間を経て、リアルスタートが切られる頃には、雨が降り出していた。周回コースに入ると、土砂降りの雨に見舞われ、想定外の気温にウェアの調整を始める選手も。


小倉橋を越える選手。この頃から本格的な雨が降り始めた


地元の皆さんの太鼓がレースを盛り上げる

だが、このアウェイの天候の下でも、激しいアタックの掛け合いが始まり、なんとしても抜け出したい選手と、逃したくない集団との攻防戦が展開された。


ペースが上がり、長く伸びた集団

動きが落ち着いたのは、レースも折り返しを越える頃だった。4周回目になり、トラックレースでも活躍を見せる山本哲央(チーム ブリヂストンサイクリング)、欧州でレースを経験している岡篤志(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)、ベテラン鈴⽊譲(愛三⼯業レーシングチーム)や、今大会レースを作る動きにはことごとく名を連ねている山本元喜(キナンレーシングチーム)ら8名の逃げが決まったのだ。
メイン集団の先頭はレースリーダーを抱えるチーム右京が固め、ペースのコントロールを始めた。ようやくここでレースが落ち着き、悪天候の中の攻防で疲れ切った選手は、いったんの小休止。


メイン集団はチーム右京がコントロール

この先の展開を懸念したのか、留目夕陽ら若い日本ナショナルチームのメンバーが追走に出た。ここに、Jプロツアーでも存在感を見せるレオネル・キンテロ・アルテアガ、超ベテランのフランシスコ・マンセボ(以上マトリックスパワータグ)、横山航太(シマノレーシング)、谷彰太(日本大学)らが合流して11名の追走集団が形成された。


先頭集団との差は詰まらない

冷たい雨が容赦無く降り注ぎ、体感気温は非常に低い。低体温症に近いところまで追い込まれる選手が出てくるほど、厳しい状態が続いた。
ラスト2周、追走は先頭集団に32秒差まで詰め、メイン集団とは2分近い差が開く。このまま追走集団は追い上げ、ついに先頭をとらえた。誕生した19名の強力な先頭集団はメイン集団からは2分以上の差を開き、最終周回へ。この集団の逃げ切りが濃厚になっていた。

最終周回。下り区間に先頭集団からキンテロがアタック。このアタックにライアン・カバナ(ヴィクトワール広島)、山本哲央が合流した。この強力な3名は16名に10秒ほどの差を付け、逃げ切りを図るが、集団もやすやすと勝利を渡すわけにはいかない。登り区間に入って3名は吸収され、ひとつの集団に。フィニッシュが近づくにつれ、集団の緊張感は高まっていった。勝利を狙う選手が、勝機を見出すべくアタックと牽制を繰り返し、集団は生き物のように形を変えながら進んでいく。
どの選手の抜け出しも叶わず、スプリント勝負に持ち込まれることが確実となった。この集団の中に、最多3名の選手を送り込んでいたのはマトリックスパワータグと日本ナショナルチーム。特にマトリックスは、キンテロ、マンセボ、昨年のJプロツアー優勝者のホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレアと実力者を送り込んでいた。
マトリックスが集団の主導権を握りながら、先頭に立ち、ラスト500mに突入。だが、ラスト100mのコーナーを先頭で回ったのは、ここに単騎で入り込んでいた岡だった。岡は誰も寄せ付けないスプリントで、そのままフィニッシュラインに飛び込み、ガッツポーズで優勝をもぎ取った。2位にはキンテロ、3位には山本が入った。


ガッツポーズでフィニッシュラインに駆け込む岡篤志(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)

宇都宮ブリッツェンでの活躍から海外移籍を果たした岡は、国内のファンの応援への感謝を伝えると、「海外チームとしての参戦で、絶対に何か成績を残さなくてはいけないと思っていた」と、強い思いがあったことを語った。そして、「今日は何としても逃げて優勝を狙うつもりで最初から仕掛けた」と、レースを振り返る。TOJでの優勝は2年ぶり、2回目となるが、前回は個人タイムトライアルステージでの勝利であり「UCIのロードレースで勝ったのは初めてで、本当に嬉しい」と満面の笑顔を見せた。


各賞のリーダーたち。ブルーとレッドジャージに変動があったが、グリーンジャージが動くことはなかった

相模原ステージ上位に個人総合上位選手がおらず、上位順位の変動はなく、ネイサン・アールがグリーンジャージをキープ。事実上、最終ステージに大きなトラブルが起こらない限り、アールのジャージ獲得は決まりと言ってもいいだろう。ポイント賞のブルージャージは、この日獲得したフィニッシュポイントでキンテロが奪取し、入れ替わりが生じた。
山岳賞のレッドジャージも小林海(マトリックスパワータグ)に移動。U23のホワイトジャージは宮崎が守った。

雨の中のステージではあったが、1万8,000人の観客が沿道に集まり、コース沿いの施設を利用するなど工夫しながら観戦を楽しんでいたという。昨年は観戦自粛の要請が出て、今年が悪天候であったが、地元の自転車への理解も進んでおり、晴天であれば、遥かに多くの観客を集めたことだろう。
今年のTOJは4ステージのみでの構成となり、この翌日が最終ステージとなる。平坦ステージとあり、スプリンターたちが全力で挑む、迫力のあるレースが期待された__。

***************
【結果】ツアー・オブ・ジャパン2022 第3ステージ=相模原
1位/岡篤志(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)2時間33分37秒
2位/レオネル・キンテロ・アルテアガ(マトリックスパワータグ)+1秒
3位/山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)+1秒

【個⼈総合時間賞(グリーンジャージ)】
1位/ネイサン・アール(チーム右京)8時間14分19秒
2位/ベンジャミン・ダイボール(チーム右京)+7秒
3位/トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)+1分36秒

【個⼈総合ポイント賞(ブルージャージ)】
1位/レオネル・キンテロ・アルテアガ(マトリックス パワータグ)26pt

【個⼈総合⼭岳賞(レッドジャージ)】
1位/⼩林海(マトリックス パワータグ)23pt

【個⼈総合新賞(ホワイトジャージ)】
1位/宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)

【チーム総合順位】
1位/チーム右京

画像提供:ツアー・オブ・ジャパン組織委員会

ページの先頭へ

メニューを開く