2017世界自転車選手権トラック香港大会 私的観戦記
ブノワ・べトゥという劇薬
最後に日本に関して。昨年10月、日本は強化を急ぐ短距離種目のヘッドコーチにブノワ・ベトゥ氏(フランス・43歳)及びアシスタントコーチにジェイソン・ニブレット氏(オーストラリア・34歳)を招聘して、外国人コーチが主導する新体制を作った。ベトゥコーチの手腕は折り紙付きで、これまでロシアと中国のコーチを歴任する中多くのメダリストを育て上げている。彼のトレーニング理念はとにかく選手たちにはハングリー精神を持つことを強く求め、そしてバックアップする組織にはトレーニングに専念できる環境を作ることを求めるのが土台となっている。今、世界で戦う能力を認められた日本の選手たちは練習拠点となる伊豆に移り住んで、ベトゥコーチ指導のもとトレーニング漬けの生活を送っている。国内で「競輪」を生業とする選手主体の短距離陣にとってこれは今までにない革命的ともいえる変化だが、このスタイルを強く求めているのもベトゥコーチだ。
新体制が動き出して約半年後の今回の世界選手権。多少の期待はあったものの結果ははっきり言って惨敗だった。これにはベトゥコーチ本人もかなりショックを受けたようだったが、現実を受け入れた後はここが我々の現在位置と納得して視線は前を向いていた。チームの改革はまだ始まったばかり。結果にはまだつながらないが選手たちの意識や組織の考え方には少しずつではあるが変化の兆しは見て取れる。目標とする東京オリンピックまであと3年。ブノワ・ベトゥという劇薬によって日本チームにどんな化学変化が起きるのか。これからが楽しみだ。
Text & Photo/Yoichi Yamada
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