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2022/06/20

P-Navi編集部

ツール・ド・熊野2022 最終ステージ

ツール・ド・熊野2022 最終ステージ

5周回完了時に設定された2度目のスプリントポイントを獲るために、ブリヂストンのメンバーが先頭を固め、全力でペースアップを図り始めた。ナショナルチームのトラックレーサーで構成されるチームの底力を見せ、差が詰まっていくが、先行する10名も協調しあい、全力で逃げる。
いくらブリヂストンとはいえ、数名で協調のとれない集団のペースアップを図るのは難しく、ついに牽引を諦めた。すると右京のメンバーが再び先頭に現れ、ペースを抑えにかかり、再び差は1分まで開く。メイン集団はこの時点でかなり疲弊しており、このまま、先行メンバーの逃げ切りを許すことになるのか、という雰囲気が全体に漂い始めた。


チーム右京がコントロールするメイン集団。先頭集団に戦える選手を送り込んでいないチームの思いとは裏腹に、ペースが上がらない

2回目のスプリントポイントは、カバナ、マンセボ、横山の順に通過。バーチャルリーダーの横山は、さらに1秒の差を縮めることに成功した。先頭グループとメイン集団との差は最大で約1分30秒まで広がった。先頭集団にメンバーを送り込めていない愛三工業レーシングチームなどが集団の牽引を行い、タイム差を縮めたが、先頭を捉えることはできず、また右京のコントロール下へ戻った。そのままレースは終盤に突入していく。


愛三工業レーシングチームがメイン集団をペースアップし、追い上げを図る

先頭グループは逃げ切りをかけ、ハイペースを維持する。耐えきれなくなった選手たちが徐々に集団から脱落して行った。メイン集団と55秒差で最終周回に入った。先頭に残ったのは、カバナ、マンセボ、横山、中井、門田、入部、山田拓海(エカーズ)。横山は、メイン集団のアールから45秒以上のタイム差を保ってゴールすれば、個人総
合で逆転優勝が叶う。当然、それを許すまじと、チーム右京はメイン集団の先頭を固め、全力で追撃、タイム差を縮めにかかった。先頭に選手を送り込めていないチームも、ここに協力し、メイン集団は一気にペースアップした。


逃げ切りに賭け、全力で走る先頭7名


フィニッシュに向け、ペースアップするメイン集団

最後の全力の牽引でタイム差が縮まっていく。逃げ切りをかけ、門田と中井が先頭から飛び出し、ゴールを目指した。ラスト3kmで2名は先頭集団に吸収された。ステージ優勝をかけた駆け引きが始まる。残り200mでカバナが先頭に飛び出し、スプリント勝負が始まった。カバナはそのまま先頭でフィニッシュラインを通過した。


ライアン・カバナ(ビクトワール広島)がスプリントを制し、勝利をもぎ取った

メイン集団はこの7秒後にフィニッシュに到達。リーダージャージのアールも7秒差でフィニッシュし、個人総合優勝を確定させた。77名がスタートした最終ステージだが、完走はわずか45名。非常に厳しいレースとなった。
スプリントポイントや、フィニッシュのボーナスタイムで、最終的な個人総合順位に入れ替わりが生じた。中間スプリントで3秒獲得し、メイン集団の先頭でフィニッシュした松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が個人総合2位にジャンプアップを叶えた。


激戦となった各賞のリーダーたち。アールと山本大喜(キナンレーシングチーム)はジャージを守り、カバナと山田拓海(エカーズ)は最終ステージの健闘でジャージを手に入れた

この日ステージ優勝したカバナが、ポイント賞を獲得。U23首位のヤングライダー賞では、先頭集団で最後まで残った山田が首位となった。山岳賞は山本大喜に確定し、チーム総合はマトリックスパワータグが受賞した。

3年ぶりの開催となったツール・ド・熊野だったが、最後の最後までリーダージャージも決まらず、目の離せない展開が続き、開催を待ちわびたサイクルロードレースファンたちは、観戦をおおいに楽しんだようだ。地域の方々を中心とした多くのボランティアスタッフも、誇りを持って大会の開催を支えてくれた。


上位3名の表彰式。皆が笑顔を見せた

最終ステージに優勝を決めたライアン・カバナは、地域密着型チームであるヴィクトワール広島にUCIレースの勝利をもたらした。「第3ステージをターゲットとしていたので、優勝した上にグリーンジャージも獲得出来て本当に嬉しい」と喜びを語った。そして、チームや応援してくれた方への深い感謝を述べた。


個人総合優勝を果たしたネイサン・アールは表彰台で感謝を語った

個人総合優勝を果たしたネイサン・アールは「良い天気と素晴らしいロケーションでとても充実して走ることが出来た3日間だった」と感慨深くレースを振り返り、「チームに感謝すると共に、このレースで優勝出来て本当に光栄」と、思いを語った。2週連続で開催されたUCIステージレースのツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野が幕を下ろした。ネイサン・アールが2連勝を果たし、チーム右京が2戦を制する形となった。
新型コロナウィルスの感染拡大がいったん落ち着き、迎えた外国人選手の活躍が目立ったが、6月は、全日本選手権の開催が控えている。日本人選手間の戦いにも注目したい。

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【結果】ツール・ド・熊野2022第3ステージ(104.3km) 
1位/ライアン・カバナ(ヴィクトワール広島)2時間33分2秒
2位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)+0秒
3位/中井唯晶(シマノレーシング)
4位/門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)
5位/山田拓海(エカーズ)

【個人総合時間賞(イエロージャージ)】
ネイサン・アール(チーム右京)7時間43分9秒

【ポイント賞(グリーンジャージ)】
ライアン・カバナ(ヴィクトワール広島)30pts

【山岳賞(レッド[赤ドット]ジャージ)】
山本大喜(キナンレーシングチーム)20pts

【ヤングライダー賞(ホワイトジャージ)】
山田拓海(エカーズ)7時間45分43秒

【チーム総合】
マトリックスパワータグ 23時間9分45秒

画像:©︎TOUR de KUMANO 2022

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