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2022/07/12

P-Navi編集部

全日本自転車競技選手権大会ロードレース

全日本自転車競技選手権大会ロードレース

集団はチーム右京やキナンレーシングチームがコントロール。リスクを回避するために、ペースを上げ、キツい展開に持ち込もうとハイペースで走る。キツければキツいほど、底力のある選手を抱える有力チームは有利な展開に持ち込めるのだ。計画は功を奏し、耐え切れなくなった選手が、ボロボロとこぼれ落ちていく。特に上りを得意としないスプリンター系の選手にとっては、きびしい展開になったようだ。アップダウンがきつく、続くワインディングで先が見通せないこのコースでは、一度脱落した後、このペースの集団に追いつくのは至難の技といえるだろう。


キナンレーシングチームが集団をコントロール

大きな動きが出たのは、折り返しを越えた8周目。逃げのスペシャリスト阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)や、小森亮平(マトリックス・パワータグ)、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が集団から飛び出したのだ。レースをコントロールするキナンレーシングチームは落ち着いてタイム差をキープ。


4名で先頭をゆく

白川幸希(シエルブルー鹿屋)が単独で先頭に追いつき、4名になったが、集団から河野がこぼれ、再び3名に。集団は1分程度の差をキープしていたが、ペースを上げ、先頭との差を詰めていく。優勝候補だった岡篤志は転倒した影響でリタイヤし、小林海もレースを去り、選手たちが本格的に絞り込まれていった。
一気にペースを上げた先頭集団が、先頭3名を飲み込んだ。ここでタイミングを図っていた小石祐馬(チーム右京)が飛び出し、単独で先頭を走る。この時点で、メンバーはすでに絞り込まれていた。


単独で先頭を行く小石祐馬(チーム右京)

ラスト2周のタイミングで、集団が小石を捉え、レースはいよいよ最終局面に。集団は15名ほどに絞り込まれた。新城のアタックがかかり、集団がふたつに割れた。ここでメンバーはさらに絞り込まれていく。


絞り込まれた集団はふたつに割れ、7名が先行した


新城の動きは、きっちりとキナンレーシングチームがチェックする

タイミングを見計らっていた山本大喜が鋭いアタックをかけた。山本を新城幸也が追い、その幸也の後ろには、同じ石垣島にルーツを持つ新城雄大(キナンレーシングチーム)がピタリとつく。キナンは最後の展開に4名を残しており、集団に残ったメンバーが集団を抑え、最良の展開だ。


単独でアタックした山本大喜(キナンレーシングチーム)


山本大喜を追う新城幸也と、その後ろにピタリと付く新城雄大(キナンレーシングチーム)

だが、新城幸也は最終周回の上りで山本大喜を捕らえてしまう。さらに続く上りでキナン勢を切り離すべく、アタック。だが、ここまで脚力を溜めていた新城雄大は離れなかった。先頭を走る幸也と、食らいついて離れない雄大。ここまでの消耗度合いからして、雄大が有利かと思われた。
ホームストレートには、幸也、雄大の順に現れた。雄大がスプリントを仕掛け、その後ろに幸也が付く。幸也は冷静に雄大の後に付き、ラスト100mでスプリントを開始し、着実に競り勝つと、ガッツポーズで勝利を勝ち取った。3回目の全日本チャンピオンだ。


新城雄大が先にスプリントを仕掛ける


冷静に勝負し優勝を決め、ガッツポーズの新城幸也

ベテランらしく、単騎の参加でありながら、しっかりと勝利を勝ち取った新城幸也は、満足した笑顔で表彰台に立ち、「非常に自身へのマークがきつく、自由に動けないため、他の動きを待っていた」と語った。山本大喜が飛び出した終盤の展開は、優勝への戦略を探る上で、とても好都合なものになったという。欧州の最高峰のレースは、強度が高く、さらに長い。そこを主戦場とする新城幸也のスタミナと、その上に立つ冷静な判断力が光ったレースだった。


上位3名の表彰台。厳しいレースを経て確保した表彰台の価値は大きい

一方、完璧な展開に持ち込みながらも優勝を逃した新城雄大、山本大喜は終始、悔しさを滲ませていた。この日の完走者は127名中、29名。非常に厳しいレースとなった。全日本選手権が終わり、ロードレースのシーズンは後半戦に入る。今後、新城幸也は日本チャンピオンジャージを着て、欧州を転戦する。今年はUCI認定の国際レースの開催も復活が予定されており、国内でも見応えのあるレースが展開されることになるだろう。

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【結果】全日本自転車競技選手権大会ロードレース 男子エリート(184.5km)
1位/新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)4:36:28
2位/新城雄大(キナンレーシングチーム)+0:00
3位/山本大喜(キナンレーシングチーム)+0:15
4位/中井唯晶(シマノレーシング)+0:45
5位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+0:49

画像:Satoshi ODA

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