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2022/08/02

P-Navi編集部

Jプロツアー第8戦・石川クリテリウム

Jプロツアー第8戦・石川クリテリウム

JBCFサイクルロードシリーズの中の最高峰リーグであるJプロツアーが、1カ月ぶりに開催された。海の日を含む連休を利用し、3連戦が設定され、その3戦すべて福島県石川郡が舞台となる。初日はサイクルロードレースの会場としては歴史の深い石川町での開催だが、知られたコースではなく、ショートサーキットを用いたクリテリウムレース「第2回石川クリテリウム」だ。コースの長さは1周1.8km。アップダウンがなく、平坦ではあるが、クランク状のコーナーなど8つもの直角コーナーがあり、コーナーのたびにハードな減速と加速を強いられ、容易な種類のコースではない。

キッズレース
レースの合間にキッズレースが行われた

この3連戦には、国内のプロリーグであるジャパンサイクルリーグ(JCL)から、交流戦としてキナンレーシングチームが参戦する。前日まで雨が降り、この日も雨まじりの不安定な天気。スタート時には雨は上がっていたものの、非常に蒸し暑く、息苦しい。

文教福祉複合施設モトガッコ前のスタートラインに揃う
選手が文教福祉複合施設「モトガッコ」前のスタートラインに揃う

この日のクリテリウムは、コースを18周する32.4kmというショートレース。コースから考えれば、トラックレースの日本代表メンバーが多く所属するTEAM BRIDGESTONE Cyclingが圧倒的な本命と言えそうだが、シーズン6勝をあげており、常人離れした強さでリーグの個人総合首位を走る小林海(マトリックスパワータグ)と、開幕7連勝を誇り、多くのレースで表彰台を埋める無敵ぶりを見せ付けているマトリックスパワータグが、このコースでいかに戦うのか、注目が集まった。
小林が赤いプロリーダージャージ姿で最前列の中央に立ち、U23首位の山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)がホワイトジャージで横に並ぶ。マトリックスパワータグは存在をアピールするかのように最前列を固めていた。マトリックスの快進撃は、続いていくのだろうか。

小林海と山本哲央
赤いプロリーダージャージの小林海(マトリックスパワータグ)、白のU23のリーダージャージの山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)らを先頭にスタート

石川クリテリウムは開始早々からアタックの応酬
開始早々に各チームからのアタックの応酬が始まった

拍手に送られ、レースがスタートした。ショートレースということもあり、開始直後から激しいアタックの掛け合いとなるが、ほどなくTEAM BRIDGESTONE Cyclingが主導権を握り、山本らが集団前方に集まってペースを上げていった。このペースアップに堪えきれない選手たちが徐々に脱落し、集団の人数が絞られていく。

チームブリヂストンサイクリングが集団前方を固める
TEAM BRIDGESTONE Cyclingが集団前方を固め始めた

石川クリテリウムはハイペースの展開で集団がばらけていく
ハイペースでの牽引が続き、耐えきれなくなった集団後方がばらけていく

マトリックスパワータグもこのペースアップに加わるが、レース中盤以降は集団後方で遅れるメンバーが目立ちはじめ、集団が中ほどで分断されてしまった。ここで番狂わせが起こる。リーダージャージを着る小林海が、この分断で先頭から遅れてしまう。
先頭集団に6名を残したTEAM BRIDGESTONE Cyclingに比べ、マトリックスパワータグは3名のみ。まさに日本トップクラスのスプリント力を誇るTEAM BRIDGESTONE Cyclingのメンバーのゴール勝負の強さを思えば、勝つためには先に仕掛け、動きを作るしかない。だが、彼らが先頭を固め、ハイペースを刻む集団から飛び出せる選手は現れなかった。

チームブリヂストンサイクリングが主導権を握る
完全に主導権を握ったTEAM BRIDGESTONE Cycling

松田祥位と窪木一茂と橋本英也が隊列を作る
松田祥位、リオ五輪代表の窪木一茂、東京五輪日本代表の橋本英也と実力者が隊列を作るTEAM BRIDGESTONE Cycling

終盤に差し掛かっても、状況は変わらず、先頭を固め、完全にレースの主導権を握ったTEAM BRIDGESTONE Cycling。先頭集団は、すでに20名ほどまで絞り込まれていた。
最終周回。最後のコーナーに松田祥位、窪木一茂(ともにTEAM BRIDGESTONE Cycling)の順に入ると、そのまま他の選手を寄せ付けぬままフィニッシュラインを越え、ワンツーフィニッシュを決めた。チームの今シーズン初勝利をあげるとともに、窪木にとっては出身地での最高の形での表彰台となり、多くの祝福を受けていた。

チームブリヂストンサイクリングの松田と窪木がワンツー
松田、窪木が余裕のワンツーフィニッシュ。完全な勝利だった

石川クリテリウムの表彰式
松田、窪木、レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)の表彰式

3位にはレオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)が食い込んだが、ここで、マトリックスパワータグ、並びに小林の連勝は止まることになった。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingのメンバーは、6月のトラックのアジア選手権に出場しており、しばらくトラックの練習にフォーカスしていたという。連戦の中で、勝てる可能性のあるレースはこのクリテリウムしかないという判断をし、絶対に勝利を譲らないという思いで、チームで集中して臨んだレースだった。

インタビューに応える松田
インタビューに応える松田

チームの作戦としては、他の選手が勝負する予定だったが、「展開を受けて、自分が行くことになった」と松田は控えめに語った。先輩である窪木がうまく立ち回り、松田の優勝をサポートしたという。

小林海と山本哲央
プロリーダージャージを守った小林と、ネクストリーダジャージを守った山本

マトリックスの快進撃はいったんストップしたが、もちろん小林の首位はゆらぐことなく、リーダージャージを守った。U23のリーダーも山本が守っている。次戦は伝統の石川サイクルロードレース。どのような展開になるのか、目が離せないレースへの期待は高まっていった。

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【結果】Jプロツアー第8戦 石川クリテリウム(32.4km)
1位/松田祥位(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 43分18秒
2位/窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +0秒
3位/レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) +0秒
4位/ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +0秒
5位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム) +0秒

【Jプロツアーリーダー】
小林海(マトリックスパワータグ)

【U23リーダー】
山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

画像提供: JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)

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