全日本選手権ロードレース(男子)
静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで6月22日、23日の2日間に渡って、開催された全日本自転車競技選手権大会ロードレース。ロード2日目の朝は、濃い霧と包まれ、雨の中おこなわれた。
早朝は絶望すら感じさせられる天気に見舞われていたが、朝から開催されたマスターズのレースは、コース短縮の措置もないまま予定通り開催され、少しずつ、天気も好転していった。
雨に濡れた会場。男子エリートの頃までには、雨の勢いは落ち着いたが、強風が皆を悩ませた
大会で最も大きな注目を集める男子エリートのスタート準備が始まる頃には、雨も小雨になり、集まった観客たちも傘をささずにいられる程度の天候に。ただ、マスターズを走った選手によると、悪天候の影響でコース内に砂が浮き、非常に滑りやすい箇所が多いとのこと。風も時間を追うごとに強くなっており、厳しいコンディションであることは間違いなかった。
この日、使用されるのは、通常のサーキットに、登坂の厳しい3kmを追加した8kmサーキット。まったく休む場所がなく、ひたすらアップダウンを繰り返す、日本屈指のタフコースだ。このコースを20周する160kmで競われる。周回コースであるため、何度も何度も厳しい登坂がループ再生のように繰り返される160km。国際レースのために来日する選手がよく「日本の特殊な設定のレースに慣れる必要がある」と語るが、今回のレースの設定は、まさに日本特有のものと言えるだろう。
使用されるコースは、一般開放されている5kmサーキットに厳しい登坂が続く3kmを加え、終始アップダウンが続くタフな8kmサーキット
スタート時刻の午前11時を前に、参加選手がラインナップする。コールを受け、パリ五輪にトラック競技で出場を決めている橋本英也、今井駿介(ともにチームブリヂストンサイクリング)と、ロードレースに出場する新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が最前列に並んだ。新城は最高峰のワールドチームに所属し、ヨーロッパで活動しており、このために来日してレースに臨んだ。昨年同コースで開催された全日本で勝ったディフェンディングチャンピオンの山本大喜(JCLチーム右京)も最前列に並んだ。
観戦に駆けつけた観客の歓声を浴びながら、参加する選手がスタート。優勝者が決まるまでは、長く、厳しい戦いになるだろう。
107名が参加するレースがスタート
スタート直後に飛び出したのは、橋本英也。会場を沸かせながら、先頭を行く。
橋本はほどなく、集団に吸収され、そのカウンターアタックで飛び出した元プロ選手の井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)が先行、大歓声を浴びながら2周目に入っていく。こういった選手たちもアマチュア選手として多数エントリーしており、出場資格をクリアしたアマチュア選手たちがプロとともに挑むことも、全日本選手権の見どころの一つになっている。
風はますます強まり、チームテントも飛び上がりそうなほどの強風に。コンディションは悪く、コースは果てしなくキツく、このコースにしては、設定距離も長い。消耗の激しいこのレースを、チームとして、選手個人として、いかに走るかが、レースの結果を分けることになりそうだ。
集団のまま周回をこなしていく。落葉があり、濡れて滑りやすい路面の中、アップダウンを繰り返す選手たち
井上が吸収され、4名が抜け出すが、ほどなく吸収され、集団のままレースは推移した。
4周目に入ると、また動きが生まれる。若手の実力派、石上優大(愛三工業レーシングチーム)が飛び出し、4名が協調。逃げ集団が形成された。だが、この集団も吸収され、新たな飛び出しがかかるものの、また集団に捕らえられる。
抜け出した選手らを捕らえるものの、集団は人数が激減
この抜け出した選手たちを捕らえるためのスピードアップを受け、メイン集団から堪えきれなくなった選手たちがボロボロとこぼれ落ちていく。レースははやくも大いに人を減らし、107名だったメイン集団は、6周目の段階で、もう3分の1にまで絞り込まれていた。
7周目に東京2020五輪に出場した増田成幸(JCLチーム右京)が抜け出し、逃げ集団を作ったが、吸収され、再度8周目にアタック。ここに2日前のタイムトライアルの全日本選手権で2位になった宮崎泰史(キナンレーシングチーム)が合流した。今度は集団が先行を許し、2名で先行する形に。集団はこの一連の動きで疲弊し、20名以下にまで小さくなっていた。
増田成幸(JCLチーム右京)がアタック。40歳のベテランながら、’22の大ケガから完全復活を遂げ、この日も積極的に動いた
先行する2名のスピード維持能力は高く、集団との差を2分半まで一気に開く。宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)が単独で集団から飛び出し、先行する2名を追い始めた。
増田と宮崎泰史(キナンレーシングチーム)が先行
宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)が単独で追走を始めた
力のあるメンバーに絞り込まれたメイン集団
12周回目に増田がパンク、修理のために遅れたが、追走していた宇賀と合流、2名で先頭復帰を目指して再スタートした。
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