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競輪

2017/06/23

Satomi Diamond

GIRL’S KEIRIN 夢と未来、希望と現実(前編)

GIRL’S KEIRIN 夢と未来、希望と現実(前編)

衰退する競輪人気回復のため、華やかな女性人気にあやかろうと始まったガールズケイリン。当初の33選手3開催場から5期生を迎えた現在で94名、未開催場は3場のみというところまで来ました。そして7月には17名の6期生が新たに加わります。

一見、順調に発展しているかに見えるガールズケイリンですが、ここに来て2つの大きな問題に直面している感があります。
一つは制度的な問題で、代謝逃れを含む欠場過多による慢性的な出場選手不足の現状。
もう一つはレース体系のマンネリ化による選手のモチベーション低下です。
制度面という「マイナス因子」は機会をいただければ次回に述べるとして、今回はレース体系の改革という「プラス因子」のお話しをしていきます。

男女問わずに、競輪選手の夢はグランプリ出走と制覇。しかし、出場するだけでも男子は9名、女子は7名の狭き門。 男子選手ならばグランプリまでは無理でも、S級まで上がりさえすれば記念競走の斡旋(あっせん)があります。また、上位108名までに入れば特別競輪という場が設けられているのです。それが選手としてのモチベーション維持に大きく関わっていることは間違いないでしょう。
それでは、ガールズケイリンではどうなのか?
グランプリと年3回のコレクション出場は7選手のみ。ゆえにほぼ固定メンバーであります。特別レース最多の21名もの選手が出場できるガールズケイリンフェスティバル(G2サマーナイトフェスティバルの中での開催)も、運営調整部会の定める選抜方法が基準となり、選考期間(2016年11月〜2017年4月)の優勝があっても補欠回りという状況も。また、競走得点上位だけでは出場できないということもあります。

通常開催は?といえば、そこには常にグランプリ出走経験者が2人はいるケースがほとんど。ガールズケイリンのルール上、連携したと見なされるレースはできませんので中堅選手は強者を倒しに行って潰れるか、強者の後位を取り合うことに力を消費する形になり、なかなか初優勝のチャンスは巡って来ないのが現実。
優勝者が常に同じ顔ぶれになってしまう、14人の斡旋の組み合わせ方と予選のシード的番組編成がガールズをつまらなくさせているのではないかと、個人的には思っている次第です。

わずか5年のガールズの歴史において優勝回数ほぼ50回が4人、ほぼ40回が3人、30回超が2人。9人だけで378回の優勝というのは、異常な偏りであることは客観的にも明らかです。
どの世界でも支えているのは多くの中堅どころ。その中堅選手たちが夢を持てない世界でないと長続きはしません。努力してもどうせ無駄となったら、人間はそれ以上の努力は難しいのが現実ですから。
そこで中堅選手たちも夢を持てる競走体系の提案は、以下の通りになります。

【クラス分け】
7月1日からガールズ選手は男子と同列で扱われていたA級2班から、新設のL級1班に格付けされます。しかし、なぜ全員1班なのでしょうか?
人間、誰しも評価ダウンは良い気はしませんから、2班への大多数の格下げは感心しません。ここは全員、スタート時は2班に格付け。上位選手を1班に格上げ、新人選手を3班に位置付ける。運用方法はその後に考えるというのが筋なのではないでしょうか?

【オールガールズ開催の定期化】
今までもオールガールズと謳われた開催はありましたが、男子レースと共催。もしくは6レース42名斡旋での無観客ミッドナイト開催だったりした訳です。 しかし、ここで提案するのは文字通り“全員強制参加のオールガールズ戦”。裏開催で得するという不公平も生じません。
ここで活用されるのが班分けです。2班戦のトーナメントを行なえば、強い1班選手がいませんから、みんな目の色を変えて初優勝を狙って来るでしょう。
3班は未勝利選手と新人選手。初勝利を挙げたら即2班に昇班という規定にしておけば、3班は常に未勝利選手ですから、オールガールズ開催限定の3班戦では必ず涙の初勝利を飾る選手に出会える訳です。

7名×12レース=84名ですから(欠場者数にも左右されますが)、選手は当然余ります。例えば初日はオール2班戦で、1班と3班選手はイベント要員。 2日目は1班の予選が加わり、初日敗退の2班選手と3班選手がイベント要員を務める。 最終日は3班の未勝利戦が加わった分、2班戦の2日目敗退選手をイベント要員とする。
こんな感じで全選手が必ずレースかイベントに参加できて、優勝劣敗の法則も取り入れられることで有意義なイベントになると考えるのですが、いかがでしょうか?

【3連対率ガールズコレクションの廃止】*または新基準
3連対率選考のコレクションがあることにより、例えば、昨年の短期登録外国人選手との交流戦の斡旋を暗に断る選手も出て来ます。選手だって本心では力試しをしたいだろうし、ファンの立場では最強ジャパンでのガチンコ勝負を見たい訳ですが……現行の選考基準を鑑みての一つの結論として、外野が真っ向から否定することも難しいところです。
尚、オールスターとグランプリも選考期間に入ってしまっていますから、必ず着外になる4人が強いレースに出て損をするのはおかしな話しであり、選考基準のせいでレースが消極的になるようではいけません。

まだまだアイデアは尽きませんが、今回はこれにて失礼します。

Text/Satomi Diamond
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri

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