TOP > 競輪 > “帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.1

競輪

2017/05/31

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.1

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.1

今年の3月で現役選手引退して丸3年が経ちました。
現役時代の3年に比べると、と~っても無駄な時間の使い方をしてきた3年間だったような気がすると猛省しています。
それでも、スポーツニッポンの新聞記事で競輪の予想コーナーを担当。また、競輪解説者としての仕事も幅広くさせていただいております。日々勉強で、競輪を外から観る立場となって新たな視点から見えてきたことを拙文ではありますが、このPerfecta Naviで綴っていきたいと思います。

攻めの走りで掴み取った優勝

さて、5月に日本選手権が終わりましたが、通称ダービーと呼ばれる大会は選手である以上は誰もが欲しいタイトルです。G1の最高峰ですから当然の話しなのですが、コンディションをここにピークに合わせている選手がほとんどだと思います。
キビシイ言い方をすれば、ピーキングの出来てない人は超一流と呼ばれる選手にはなれてないでしょうね。その最高峰の大会で奈良の三谷竜生選手がG1初優勝することができました。まずは本当におめでとうございました!

三谷選手の優勝戦進出は初めてのことじゃなく、これまでは言い方は悪いかも知れませんがラインのアシスト役的働きだったような気もします。しかし、その経験もプラスに働いて決勝戦の雰囲気に慣れ、決勝に乗って負けた悔しさを十分糧にした結果のレース内容だったように思えます。
私は後輩たちに「他人の動きを期待して、その動きにならなかった時に負けて後悔することだけはするな」と言っていました。自分でレースを動かしてレースを作って力負けしたことが分かった方が悔いは残らない。そして、次に繋がっていきます。もちろん、これは自力選手に言えることなのですが、マーク選手でも自力選手を選択する自由はあるわけです。全てを任せて走るわけでもなく、自力選手に任せる選択をするのは自分ですし、自力選手が不発になった時に対応できるかどうかは自分の実力だと言うことですよね。自分自身の実力を出し切って負けることは前述しましたように次回に繋がるし、まだまだ進歩していけると思います。
話しは少しそれたかもしれませんが、ダービーの決勝戦という大事な場面で自ら動き回り、攻めの走りをして優勝を掴み取った三谷選手。今後のさらなる活躍を期待できるレースを観た気がします。今後も攻めの気持ちを大切にして欲しいですね。

ライバル関係が盛り上がる

ダービーが終わったと思ったら、6月は15日から4日間、高松宮記念杯(以下、宮杯)が開催です。 今年の宮杯は岸和田で開催ということもあるし、ダービー王の三谷選手が近畿勢に勢いをもたらせてくれると思いますから近畿勢の勢いが続く大会になるような気がします。これに対して平原康多選手の安定感抜群な走りを味方に関東勢の逆襲、北日本はスピード抜群の新田祐大選手をどう使って戦えるかが鍵。中部勢は深谷知広選手の復調が全ての鍵でしょう。西日本勢はダービーで2着に40歳を超える桑原大志選手が入る健闘を見せましたけれども、最終的には若手の成長と活躍が鍵を握っているのではないでしょうか?
もう今から本当に楽しみですね。 いずれにしても三谷選手の優勝を観て、若手たちが次は自分の番だと奮起してくれることを願っています。

将棋界では中学生プロ棋士・藤井聡太四段の活躍でとても盛り上がってきています。フレッシュなスター誕生が今後の競輪界の発展に必要なことは全ての人が分かっているはずです。私個人としてはオジサンパワーで若手粉砕も期待していますが(笑)。
いずれにしても若手も中堅もベテランもライバル関係になっている構造が一番盛り上がります!

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

ページの先頭へ

メニューを開く