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競輪

2017/09/08

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.7

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.7

何事もなく無事が一番!

私が現役選手の頃は落車や失格、ケガもなく。そう、何事もなく、無事に帰宅出来るように神社へ行き、祈願していました。本当に幸せな時は、幸せであること、そして、その幸せなことのありがたみに気付かない。それが人間という生き物なのかも知れません。不幸なことが起こったり、悪いことが続くと、必ず何もないことが幸せなんだと思えてくる。人間って、本当に自分勝手な生き物ですよね。

競輪は年間に全国で軽く500は超える数の開催が行なわれています。関係者は、その開催の1レース、1レースが。そして、1日、1日が無事に終わることを願っている訳ですが、先月は開催を施行する側のミスによって全額返還という失態を犯してしまいました。 そして、今月に入り、今度は出走する選手が発走直後に接触落車してしまい、運営者側から公正安全な競走が困難と判断されてレースが中止になるという事案がありました。そのレースを楽しみにしていたファンもいたでしょうし、そのレースに出走する予定だった選手を応援していたファンもいたのではないでしょうか?ファンあっての競輪にとって、あってはならない残念な出来事が続いてしまったのです。
1レースの売上金が色々な所で役に立っているということで、競輪存続の意義がある訳ですから、選手を含めて全ての関係者が気を引き締め直す必要がありますよね。

向上心がないと人は強くならない

9月に入り、秋の風を感じられるようになってきました。しかし、競輪界ではガールズケイリンにも短期登録選手がやってきて、夏の暑さが逆戻りしてきたかのような熱い戦いが観られることを期待しています。男子選手にも言えることですが、是非、この機会に日本でトップクラスの選手たちにもドンドン対戦できるチャンスを作って欲しいと思います。世界の強さを実感できるチャンスなんてそうないんですから。向上心がないと人は強くなりません。外国人選手との力の差を痛感して、少しでも近付きたい、追い越したいと思う選手が増えていく。そうやって個々のレベルが上がっていくことは、ガールズケイリン全体の盛り上がりにも繋がっていくと思います。

他の競技は若手選手を中心に、東京オリンピックへ向けてレベルアップしてきて、結果に繋がり始めていることで盛り上がりを見せています。サッカーのワールドカップ予選においても、初出場の選手にも活躍の機会が与えられて結果を出していました。 競輪界でもスター誕生は必須かも知れませんが、まずは選手個々のレベルアップが業界全体の盛り上がりに繋がっていくことでしょう。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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