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競輪

2017/06/20

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.2

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.2

『一生懸命』

人に感動を与えられる

人は一体、何のために一生懸命になるのでしょうか?
自己満足を得るため?楽な暮らしがしたいため?
人それぞれ理由は違っても一生懸命とは、他人にも「頑張れた!」と、言い切れる時に使われる言葉だと言えるでしょう。
一生懸命に何かをしたということ、それは褒められるべき言葉だと思いますが、一生懸命になり過ぎた果てに「モチベーションが保てなくなりました」 というなんだかマイナスなイメージの言葉で締めくくられてしまうのではないかという気持ちにもなりました。
先日、宮里藍選手(ゴルフ)の今シーズン限りでの引退記者会見を観ながらフッと、そんな考えになったのです。
全ての人は各々、色々な目標があると思います。その目標に向かって努力しながら毎日を生きていることでしょう。目標があるからこそ人は努力して目標に向かって成長して行きますが、目標を失った人は成長して行きません。高過ぎる目標を立て、その高い目標を達成するために努力した人は達成してしまうと次の目標が見当たらなくなってしまう。モチベーションを保てなくなるとは、次にやりたい目標がなくなってしまった時に使いますよね。一つ一つ目標をクリアするために自分を追い込んで努力して来たと思うと、まさに藍ちゃんはプロの鏡のような人ですね。

まず、今年は真央ちゃん(フィギュアスケート・浅田真央選手)の引退を聞いた時になんだか落ち込んだ気分に。そして、前述の藍ちゃんの引退発表でまた少し気分が暗くなりました。ですが、それと同時にこの2人の引退で、やはり一生懸命に努力している人のプレーは他人に元気を与えることが出来るものだと、改めて感じられる瞬間でもありました。
みなさんも仕事などでモチベーションが保てなくなりましたと、言わなきゃ行けない日がいつか来るかも知れません。ただ、一生懸命は人に感動を与えられることを絶対に忘れないで欲しいです。

新しい刺激と興味

さて、我が競輪界では先日、16年ぶりに東西対抗という形が復活、G1高松宮記念杯(岸和田/6月15日〜18日)が開催されました。 勝ち上がりのレースを観ていて、やはり特別競輪は各開催で特色を持たせるのは非常に良いことだと思いました。車券を購入出来る側になって、予想する時には選手の戦法や並び、選手の性格まであれこれ考えながら買い目を考えます。普段は連携している地区でも東西対抗になると別線で戦わなくてはならなくなる場合も出て来ます。今開催でも西王座戦では、稲垣裕之選手を先頭に京都勢3人がダービー王・三谷竜生選手と別線で戦うというレースに。予想する側には、どちらのラインが先行するのだろうか?別線といってもガチに先行争いするのだろうか?と、推理することが多くなり、その新鮮さがファンの興味を引くような気がしました。
特別競輪の売り上げが下がって来ていますが、今後も各特別競輪の特色がハッキリ分かるようにして行き、ファンの方に新しい刺激、興味を持っていただけることも必要になって来ているのかも知れません。

その高松宮記念杯は新田祐大選手が連覇という結果で終わりました。戦前のコメントでは「この大会を目標にはやって来てはいません」と、発言していました。結果は圧勝でしたが、 本当に目標として参加して来た開催で、どれだけの強さを観させてくれるのか?今後のさらなる活躍を楽しみにしたいものです。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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