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2022/01/04

P-Navi編集部

小田原おひとりさまライド(前編)

小田原おひとりさまライド(前編)

もう小田原城も近い。ここで、気になっていた「小田原 かまぼこ通り」に足を運ぶことにした。小田原には「鈴廣」や「かごせい」などかまぼこの名店が多く、品質のよいかまぼこの生産地として知られているが、その歴史は非常に古い。
江戸時代、この地区は、東海道最大だった小田原宿にあり、豊かな漁場に隣接していることから、かまぼこや干物などの水産加工業が盛んで、大いに栄えた漁師町だったという。現代になっても老舗が立ち並び、歴史情緒あるエリアではあったのだが、存在を発信していくため、近年になって「かまぼこ通り」を活性化するプロジェクトが立ち上がったそうだ。
太平洋岸自転車道であることを示す矢羽根が、小田原城エリアを前にクランク状に曲がるのだが、ひとつめのコーナーの後、一号線に入らず、細い路地を使って奥に入ると、一号線と並行して走る「かまぼこ通り」に入ることができた。


「かまぼこ通り」に立ち寄った


「鱗吉」店舗。 店先でも、イートインスペースでも食べられる

風情のある通りで、観光地的な華美さはないが、その分、ホンモノがありそうで、わくわくしながら自転車を進める。かまぼこ店は、揚げかまぼこの食べ歩きなどができるようだ。どうやって店舗を選ぼうかと悩んでいると、黒を基調とした、おしゃれな店舗が見えてきた。

店舗はお歳暮の発注に来たらしい地域の方々でかなりにぎわっていた。ショーケースをのぞくと、商品のおいしそうなこと! どうしても食べてみたくなって、早々にこの「鱗吉」への立ち寄りが決定。自転車を停め、商品を買いに行った。


ショーケースには食べ歩きOKのアイテムが並ぶ

どうやら、多くの人が「炙りじねんじょ棒」なるものを食べているようだ。揚げかまぼこに自然薯が入った、ふんわり感もある独特のかまぼこらしい。ディスプレイやポップの巧みさにも完全にやられてしまい、食べてみたくてオーダーした。「温かいものを出しますから、少しお待ちください」と丁寧に対応してくれた。


炙った香ばしい香りが漂う熱々の「炙りじねんじょ棒」


ついガチャポンもやってしまった。伊達巻ゲット!

現れた「炙りじねんじょ棒」は本当に熱々で、炙ってくれた焦げ目もあり、シンプルな揚げかまぼこながら、強烈に食欲をそそられる。パクリと頬張るとプリプリとした歯応えに、香ばしさもあり、でも、自然薯のおかげなのだろう、硬すぎず、絶妙な歯応え! 黒胡椒の香りとピリッとした辛さが、風味をさらに引き立ててくれる。

ふと「創業天明元年」の文字が気になって、歴史に疎い筆者は、いつ頃なのか尋ねてみると「240年ほど前です。田沼意次さんなどの時代ですね」と女将さんはさらりと答えた。たぬまおきつぐ!? そんな時代から、魚を練って、かまぼこを作っていたかと思うと、本当に驚きだ。創業は1781年で、獲れすぎた魚の有効活用として、かまぼこ製造に乗り出し、これが小田原かまぼこの発祥になったそうだ。
現在の「鱗吉」は、ケースでの販売に加え、売り場横のイートインスペースで音楽を聴きながら、お酒とおでんが楽しめる様子。余談だが、オリジナルのガチャポンも人気があるようだった。初代の店主は、こんな発展を想像もしていなかったことだろう。

気さくで魅力的な女将さんにお礼を言って、店を後にする。「かまぼこ通り」には他にも多数の店舗が存在しているようで、後ろ髪を引かれる思いだが、ライドに戻ろう。

<後編へ続く>

画像:編集部
太平洋岸自転車道

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