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2022/06/04

P-Navi編集部

桜を求め、春のSakura Rolling Hillsへ

桜を求め、春のSakura Rolling Hillsへ

さて、ランチにしよう! 今回もこだわりの郷土食を提供する農家レストラン「小澤ファーム」を伺った。時期が早く、期待していた「桜の花の天ぷら」は叶わなかったが、今回も土地のものを生かした料理がたくさん並んでいた。


小澤ファームに到着!


地域の素材を生かし、手をかけた料理が並ぶ特製ランチ

「このあたりには山菜が豊富だから、今回は山菜をふんだんに使いましたよ」と、笑顔で語る女将の啓子さん。おにぎりは、「イラクサ」を混ぜ込んだものと、ふき味噌の焼きおにぎりの2つ。ウドなど春の香りの山菜や、鮮やかな黄緑に茹で上げられた野菜も添えられ、春の香りがいっぱいだ。噛み締めると野菜はシャクシャクと音がする絶妙なゆで加減。素材の味、香りが生きている。

天ぷらの盛り合わせには、山菜や野菜とともに「凍み餅」も入っていた。「凍み餅」とは、餅を作り、硬くなってから水につけ、冬の夜に屋外で凍らせ、さらに乾燥させて仕上げる地域に伝わる保存食。この「凍み餅」は、地元に語り継がれるレシピをもとに、啓子さんが仕込んでいる。啓子さんが「ごんぼっぱ」と呼ばれる「ヤマゴボウ」の葉を見せてくれた。この葉の繊維が入ることで、乾燥した「凍み餅」を水につけ、再度ふやかしても崩れなくなるという。独特の食感を生み出すために、あえて米粉で作っているとの秘密も教えてくれた。


山菜や凍み餅の天ぷら。食感も香りもひとつひとつ異なり、食べるのが楽しかった


寒天や焼き凍み餅、干し芋などが並ぶデザート


この「凍み餅」の隠れた主役「ごんぼっぱ」

水で戻した「凍み餅」自体は、ゆべしに近い、ねっちょりとした食感なのだが、さっくりした天ぷらの衣に包まれることで新たなアクセントが加わり、抹茶塩でいただくことでさらなる風味がプラスされる。これだけの食物繊維が加わっていれば、餅といえど、血糖コントロールが必要な方でも食べられるのではないだろうか。
季節を感じ、目でも、食感でも、味でも楽しめるランチだった。ごちそうさまでした!
ほぼ全員が土産に「凍み餅」を買い、「小澤ファーム」を出た。「今年は花が遅くて」と、庭のこぶしの木を見て啓子さんが語る。「どの花も、開花が遅れているんですよ」。


女将啓子さん、お孫さんを交えて記念撮影

ライドはこのあたりが中間地点となる。古殿町の中心街に向けて出発した。
鮫川沿いでは、行きよりも、開花した花が増えているように見えた。この日は晴れて気温も高く、この小一時間の間にも、開花した桜があるようだ。「満開になったら、きれいなんだろうな」と、思わず呟くと、山本さんが昨年同時期のライドの動画を見せてくれた。自転車が満開の桜を抜ける光景に、声が上がる。「今年は開花がずれましたね」と、山本さん。難しいからこそ、日本人は桜へ特別な思いを抱くのだろう。
ちなみに、数日後にはこのルートも満開を迎えたようだ。古殿町役場に、満開時の画像を提供してもらった。

1000本もの桜が花を咲かせる鮫川沿い。この田園風景だけでも、心を和ませ、幸せな気持ちにしてくれる特別な空間ではあるが、桜の霞の中を走り抜けるのは最高の経験になるだろう。

豊国酒造が立つメインの通りを抜け、一行は「古殿八幡神社」へ。1064年に建立されたという由緒ある神社で、流鏑馬が行われることで有名だ。前回訪問時は、イチョウの巨木から舞い落ちたイチョウの葉で敷地内黄色く染まり、まばゆいほどだったのだが、この日は歴史の重みを感じさせる厳かな神社が、その姿のままで我々を出迎えてくれた。


「古殿八幡神社」へ

「あれ? この狛犬、子どもがいる!」
鳥居の前に据えられた狛犬を見ていたメンバーから声が上がった。近くに行ってよく見ると、向かって左側の狛犬のお腹の下に、ちいさな子ども狛犬が手足を懸命に突っ張って立っているのだ。かわいい! 思わず釘付けになった。前回のライドでは、まったく気がつかなかった。


腹部の下に守られるような形で子狛犬が彫り込まれた古殿八幡神社の狛犬

この狛犬は福島県で活躍した石像彫刻家、小林和平が手掛けたものだった。建立は昭和7年とのこと。小林和平には子どもが3人いたが、3人とも成人することなく他界している。そんな子供たちへの想いが彫り込まれた狛犬なのかもしれないと思うと、とても切ない思いになった。後からわかったことだが、石川町の「石都都古別神社」には、3頭の子狛犬が精緻に彫り込まれた狛犬が据えられているそうだ。いつか、その3頭の子狛犬たちにも会いに行かなくてはいけない。細部まで精巧に彫り込まれた子狛犬を前に、強くそう思った。

※いよいよライドも終盤へ。いざ、幸右衛門櫻へ!
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