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2019/09/27

Koichi Moriizumi

『森泉宏一の実況天国』Vol.19

『森泉宏一の実況天国』Vol.19

「〇〇アナウンサーは夏休みのため、ピンチヒッターとして今日は△△アナウンサーが担当します」
テレビ局のアナウンサーが時期外れの夏休みなどを取る際、代わりに入ったアナウンサーはこんな感じに紹介されます。
そんな時、私はこう思うのです。
「みなさんは本当のピンチヒッターの意味を本当に理解しているのかな?」

野球をご存知の方はピンチヒッターがどういう場面で出てくるのかをよく分かっていると思います。
本来、ピンチヒッターというのは打順が回ってきた選手がチャンスなのにも関わらず何らかの理由で期待が薄い。
好不調の問題もあるし、対戦相手との相性もあれば、それこそアクシデントが絡むことも。
そこで代わりにバットを託される選手のこと。
大切なのはそこにいるのに呼ばれるということです。
どうですか?
「こいつ、面倒くさいなあ」というこの書き出し(笑)。

先日、浜松オートで行われましたG1秋のスピード王決定戦。
私は開催4日目と最終日に場内のステージイベントのMCとして呼んでいただきました。
ということで、4日目の開門と同時に現地入り。
当日は伊勢崎、川口、浜松のイメージガールが大集合したゲーム大会などのイベント、準決勝戦の勝ち上がりインタビューなどを担当させていただきました。
G1初優勝を目指す地元選手も多く、勝ち上がった選手たちはファンからの大歓声を受けておりました。
そして、翌日は優勝戦です。
ゲスト(お笑い芸人・パンクブーブー)も豪華で、私は優勝戦出場選手紹介。
さらには表彰式が担当です。
自分の任務を果たし、シッカリ大会を締めくくれるようにと、早目に宿に入りました。
その後、宿の近くにあるお店でハイボールを片手に浜松餃子に舌鼓を打ち、心身共に万全の態勢を取ろうとしていたところ……そこに一本の電話が!
はい、レース場の関係者からでした。

「お気づきかも知れませんが、ウチの実況である島田(祐希)さんの喉の調子が悪くて……場合によっては、森泉さんに明日の実況をお願いしたいのですが」

この電話で完全にホロ酔い気分は覚めました。
確かに、今節の島田君はかなり辛そうだ。
とは言え、何だかんだで大丈夫だろうと、高を括っていました。
もちろん、念のために少しだけ準備(マイ出走表の用紙をコンビニでコピーするくらいですが)はしていましたが。
前日までの気持ちは「やると決まれば腹を括って!」が1割。
残り9割は「島田ーっ!治れーっ!」でしたね(苦笑)。

オートレース実況を離れてから半年。
やはり、不安が楽しみを勝るのです。
離れてからは練習すらしていなかった状況ですからね。

最終日、レース場に到着するや否や関係者から正式な打診がありました。
そこからスタジオに直行し、中継時の流れや実況のタイミングなどを確認。
「前日マリオカートの実況をされていたのでブランクは無しということで!」
確かに前日、各場のイメージガールによるゲーム大会で実況を担当しました。
そんな経緯もありましたので、関係者からジョークの言葉も投げ掛けられました。
でも、私、森泉……1レースが開始するまではそれに応える余裕はなし!(笑)

そして、いよいよレースが始まりました。
序盤は思い出しながらの実況。
さらに各場でファンファーレや喋り出しのタイミングも違うので、最初はレースよりもそちらに気を遣います。

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