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2018/11/08

Norikazu Iwai

小田原競輪場、廃止か!?

小田原競輪場、廃止か!?

衝撃的なニュースが6日の一部スポーツ紙に踊った。何と……小田原競輪場が廃止に向けた調整に入ったというものだった。そのスポーツ紙の記事によれば、2008年にも存廃の問題があり、「今後も赤字が見込まれる時は改めて廃止について考える」との答申があったそうだ。

その答申後の小田原競輪場は3度の赤字があったらしい。ただ、問題なのは平成29年度の赤字とのこと。その前の2回は、施設の改修費用であったり、ある程度は想定内の赤字だったそうだが、昨年度は全くフラットの状態での赤字。聞くところによるとその額は約8,000万円。売り上げは過去20年で最低の108億4,845万円。まだ血税は投入されていないが、このままの状態であれば、それも出てくるだろう。

かつて筆者は小田原競輪場に足繁く通っていた。すぐそこに箱根の温泉があり、私だけでなく、俗に言う旅打ちの勝負師もいたほどだ。競輪で儲けてから温泉を楽しむ。オーソドックスだが、これが競輪ファンの楽しみでもあった。小田原駅から歩いて10分余り。東海道線が通過するのを眺めながら、視線を上げれば小田原城が目前に。駅の西口には北条早雲の銅像があり、競輪ファンだけに留まらず、観光客を出迎えてくれる。その小田原競輪場がまさかこのような状況に陥っているとは露にも思わなかった。私の記憶が確かなら、小田原競輪場は過去に1人当たりの購買額が全国1位だった時があった。そのような競輪場の廃止を議論とは、本当に寂しい限りである。

都内からの交通アクセスも抜群で、新宿から小田急線の特急・ロマンスカーをよく利用した。車券を買う前のささやかな贅沢とでもいうのか、広い座席で余裕を持って予想をしていたものだ。新幹線なら東京駅から約35分。チョットした旅行気分を味わえるのも、小田原競輪場の魅力の一つだろう。

まだ廃止が決まった訳ではない。今後、検討会議が設置され、来年2月まで審議されるらしいが、これほどの大事をわずか3〜4か月の審議で済ませて良いものなのか?もっと慎重に話しを進めてもらえればと思う。

今回の件では売り上げ以外に、小田原競輪場の施設のこともマイナス面に働いている。周囲には短大・高校・中学があり、文教地区とも言える。さらに言えば、小田原城内の位置付けで、風致地区のカテゴリーに入るらしい。故に施設はいじれない。メインスタンドはおろか、場内の樹木を伐採することも難しいらしい。スタンドの老朽化は著しく、もしも大地震が起こったら……とも考えてしまう。現に全てのスタンドが解放されている訳ではなく、場内は閑散とした印象も受ける。

戦後、復興の証しとして全国各地に競輪場が建てられ、自治体の財政に大きく寄与してきた。でも、それはもう昔の話しなのだ。業界内でよく聞くのは「どれだけ財政に貢献してきたか」だ。だが、時代は変わった。過去にどれだけ貢献しようとも、大切なのは今なのである。競輪は公営競技、自治体に貢献できなくなれば淘汰(とうた)されても致し方ないのではないか。それよりもここまで売り上げが低迷した原因を突き詰めなかった業界に責任があると感じる。

改めて書くが、小田原競輪場の廃止が決まった訳ではない。今後、来年2月までに業界が一丸となって手を打てば、存続できることもあろう。ここはお手並み拝見といきたい。

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