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2022/02/08

森泉宏一

『森泉宏一の実況天国』Vol.72

『森泉宏一の実況天国』Vol.72

2022年は早くも1カ月が経ち、世間の話題は3回目のワクチン接種で持ちきり。
そんな中、「昨年の自分は、どこへ行っただろう?」と、ふと思い出していました。
ここで言う「どこ?」というのは、球技スタジアムと公営競技場のこと。
前者、後者ともに、趣味に加えて仕事をいただいて訪れたケースも。

まずは、球技スタジアムから。
NACK5スタジアム大宮、ケーズデンキスタジアム水戸、ニッパツ三ツ沢球技場、神宮球場、東京ドーム、茨城県内の野球場数カ所などを訪れました。

そして公営競技場は、川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、京王閣競輪場、平和島ボートレース場。
こう書き出してみると、前者、後者ともに、とても少ないことに改めて気づきます。

コロナ禍になる前は、全国いろいろな所を訪れては、競技だけでなく、その土地を堪能することが楽しみでした。今はまだまだ難しい状況ではありますが、レース場、スタジアムともに、魅力の一つが現地での食事です。レース場では「ギャンブル飯」、スタジアムでは「スタグル(スタジアムグルメ)」と呼ばれており、毎回、何を食すか楽しみにしていました。

ここで少し話題が逸れますが、私は以前、プロ野球『北海道日本ハムファイターズ』の球団スタッフをしていた時代がありました。

千葉県鎌ヶ谷市にあるファーム(二軍)のスタジアムで、音響や大型ビジョンの操作などの演出の仕事を2年ほど担当していました(その後は、試合中継での実況も担当)。


(こういった画像の作成なども担当しておりました)

スタッフ時代はミーティングに参加することもあり、そこで球団上層部の方の話を聴く機会も多くありました(オートレーサー遠藤誠(浜松25期)選手の弟である良平さんも上層部の1人)。
ある日の試合後。
ミーティングで1人の上層部の方が、こんな話をされていました。

「お客さんには、球場にご飯を食べに来てほしい」

週末に大きなイベントを打つと、野球ファン以外の方も多く訪れます。球場の外では、多くの飲食店の出店やイベントなどで賑わいを見せ、球場の中ではプロの試合が行われています。
しかし、野球ファンではない多くのお客さんは、イベントを楽しんだら、そのまま帰ってしまうこともあるのです(もちろん球場内は、多くの野球ファンで賑わっていましたが)。

私もスタッフとして場内を歩いて、お客さんと話をしていると、
「イベント、とても楽しいです! そういえば野球の試合もやってるんですね?」
と、言われたこともありました(苦笑)。
そのお客さんは地元の方でしたが、プロ野球の試合が行われていることは、ご存知なかったそうです。
そういえばイベント日は、13時から試合開始なのに、13時に球場を出る路線バスが満員だったことも。
当然、それではイベントを開催した意味がないのでは? と思ったのですが、
上層部の方いわく
「イベントは楽しい! でも、球場の中からも楽しそうな雰囲気(歓声など)が伝わってくる」
「あの中はどうなっているんだろう? 今度は中に入ってみよう!」
そういった『キッカケ作り』になれば良いとのことでした。
スタジアムでも、いきなり中に入るのはハードルが高いこと。それでも、まず現地に来てもらわないことには、魅力が伝わらない。そのキッカケとして、イベントを開催している側面もあるのだと。

公営競技のレース場も、なかなかハードルが高い場所です。
「この美味しい食事が、来場のキッカケになれば」
レース場内に入らなくても、入口の外にも出店があれば、もっとハードルが下がるのかなと。

「レース場の中から迫力ある爆音が聞こえる!」
「次はレースを見てみよう!」

ここでもそんな流れにならないかなと、場内でギャンブル飯に舌鼓を打ちながら、当時の上層部の方のことを思い出すのです。

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